ニュースNEWS

【長崎】台風10号 カキ養殖業にも被害

2020年09月08日

台風一過、県内は青空が広がりましたが、10号の記録的な暴風は県内の特産品にも大きな被害をもたらしています。7日の台風10号は佐世保市で最大瞬間風速41.6メートルを記録しました。その暴風は佐世保の特産品、「カキ」にも深刻な被害をもたらしています。九十九島でカキの養殖業を約60年営む「丸強水産」です。カキを打つ木造の作業小屋はほぼ全壊の状態です。丸強水産・大野勉さん(39)は「まさかそこまで被害が出るとは思っていなかった。天井が全部抜けてしまった。天井のライトとか電源、電線も全部引きちぎれて、どこから手を付けていいのか分からない」と話します。作業小屋の屋根、道具などは無残にも吹き飛ばされました。大野さんは「私はこんな台風の経験は初めてです。父も『ここまで揺れたのは初めて』って言っていました」と話します。作業小屋から5キロほど離れた九十九島に浮かぶカキの養殖いかだも大きなダメージを受けていました。組んである「イカダ」は強風で流され、一部はバラバラになっていました。つるされているカキが心配です。大野さんは「警報級のすごい台風が来るということだったので、9号とは比べものとならないということで何としてでもうちのせっかく育てたカキを守ってやらなくちゃいけなかったので…自然には勝てないですね」と涙をにじませました。カキは佐世保市の大切な観光資源です。毎年約300トン前後の出荷量があり、秋と冬にはカキのイベントが開催され多くの観光客でにぎわいます。今年は去年と比べカキの出来が良く丸強水産では80トンから100トンの出荷を見込んでいました。大野さんは「来月、再来月にはカキを始めないといけない時期なので従業員さんもやっぱり働けるような環境をつくってやらなくちゃいけないので時間との勝負というのはあります。今は下ばっかり向いていられない」と話していました。今はまだカキの詳しい状況は分からないと話す大野さん。「命が助かっただけでもましだ」と台風の大きな被害を受けながらも前を向いていました。