【長崎】コロナ禍に人気釣りスポットでマナー違反
コロナ禍でアウトドアレジャーの人気が高まるなか、長崎市でそのマナー違反に頭を悩ませている地域があります。「密」を避け楽しめるとブームを呼んでいる「釣り」。そのごみが今、問題です。長崎市の南端・野母崎樺島町の人気釣りスポット「大漁橋」。そこで拾ったごみには、釣り糸や釣り針などの袋も混じっています。近くで民泊やカフェを営む菅原真希さん(35)は、橋の周辺を散歩する際は必ずごみを拾いながら歩きます。週に一度は、朝からごみ袋を持ってごみ拾いをしていて、袋がいっぱいになることもあると言います。ごみが増え始めたのは、去年4月、全国に新型コロナの緊急事態宣言が出された頃からです。1人でも、複数人でも楽しめる「釣り」。屋外で、一定の間隔を空けながら行うため、コロナ禍でも楽しめるアウトドアレジャーとして人気が高まりました。去年5月、緊急事態宣言が解除された後もブームは続いています。さらに拍車をかけたのが去年11月、動画投稿サイト「YouTube」にアップされた釣りの動画。「大漁橋」で、大物が釣れた様子に触発され、釣り客はより一層増えました。動画の投稿時期は全国で新型コロナの「第3波」が起き始めた頃。当時「大漁橋」には、多くの釣り客が来て、福岡や佐賀、関東といった、県外ナンバーの車も珍しくなかったと言います。釣り客のごみは、思わぬところにも影響が。野母崎地区のコンビニ店のごみ箱には「おきあみ、釣った魚、その袋、釣り針、おことわり」の張り紙が。残った撒き餌の「オキアミ」や釣り針、小さい魚などが袋に入れて捨てられていました。それまでにも度々あり、仕分けた従業員の手に釣り針が刺さってけがをしたこともあったと言います。店は、外に置いていたごみ箱を店内に入れ、ふたを付けたところ、以前よりは釣りのごみが減りました。店長は『釣りのごみをコンビニのごみ箱に捨てるのは絶対にやめてほしい』と訴えます。釣りのマナーについて、長崎県釣り団体協議会の小川敏朗会長は「魚釣りに行った場合には、自分のごみの3倍は持って帰りなさいと指導している。釣りの前、釣りの後は清掃活動をして、後から来る人に気持ちよく魚釣りをしてもらいたい。基本は持って帰って家の中のごみと一緒に出す。撒き餌で散らかっている所はきれいに流す」と話します。菅原さんは釣りのごみについて市に相談し、注意喚起の看板を置くなど、解決に向け取り組んできました。「大漁橋」を含む「樺島漁港」を管理する長崎県も、市の連絡を受けて漁港に注意喚起の貼り紙を貼り直しましたが今もマナーの改善には至っていません。菅原さんは「自分が住んでいる所から離れれば離れるほど、海が汚れているというのに気が向かないのかな」と話します。現在、県内で唯一県独自の緊急事態宣言が発令されている長崎市。市は南総合事務所の管内で釣り客が多い野母崎、伊王島、高島地域には、釣り目的での来訪を自粛するよう呼び掛けるメッセージの発出を検討しています。