【長崎】奪われた何気ない”日常”から平和の大切さ感じて 被爆前の長崎の暮らし写した写真活用した平和学習
被爆前の日常の光景にも平和の大切さが宿っています。原爆が投下される前の長崎の人々の暮らしを写した写真から平和について考える授業が長崎市の中学校で開かれました。
RECNA・林田光弘特任研究員:「この感じ、みんなも経験したことあるんじゃない?いかに面白いポーズとるか、いかに自分が目立つか、横にきちんと並ぶんじゃなくてこの寝転んだり、ポーズ組むこのノリ。めっちゃあるわ~!と思った」
使う教材は、被爆者や遺族から集めた被爆前の長崎の写真です。浦上駅で親戚を待つ家族や、子どもの成長を愛おしく見守る母親など、原爆に一瞬で奪われた人々の暮らしが映し出されています。
RECNA・林田光弘特任研究員:「被爆後の写真を見るのと同じくらい、私たちの心を打つ写真じゃないかなと。なぜならここに写っている人たちは全部原爆によって亡くなったから」
長崎大学核兵器廃絶研究センター「RECNA」は、AIで着色した過去の写真など、デジタル化した資料を学校現場で教材として活用する取り組みを進めています。RECNAの林田光弘特任研究員は、被爆地の子どもたちのより発展的な学習に役立てたいと話します。
林田特任研究員:「(被爆地の子どもたちは)被爆後の惨状を知っているからこそ、黒焦げになった人たちが、どういう日常を送っていたのか、どういう夢を持っていたのか、好きな食べ物はあったのかな、好きな子はいたのか、奪われた人間味を今回の授業を通じて取り戻していくことで、より立体的に当時のことが学べるようになっていくんじゃないかなという狙いはあった」
今年度、「平和のために自分たちにできることをしよう」をテーマに平和学習に取り組んでいる長崎市立琴海中学校の2年生96人は、被爆前と自分たちの共通点を見つけ、平和について考えました。
男子:「改めて平和っていいなって思った。当たり前のことができるなって」
琴海中2年・山川栞奈さん:「学校生活で今の生活と変わらない、床に寝たりだとか、そういう写真が心に残った」
琴海中2年・植野聖翔さん:「戦争の時の(被害の)写真は『戦争!』みたいな感じがした。でもきょう見た写真は『平和』みたいな感じがした」
琴海中2年・本山未夢さん:「自分たちが身近な人に伝えてそこから広げていきたい」
林田特任研究員:「当時と今の共通点を見つけることで、これは決して過去のことを学ぶだけじゃなくて今の私たち、ひいては未来のことを考えるための授業だということが伝わっていけば」
写真は「被爆前の日常アーカイブ」のホームページで誰でも無料で閲覧できます。