弟を包丁で殺害した罪に問われた島原市の39歳の兄の裁判員裁判で、長崎地裁は懲役12年を言い渡しました。
判決によりますと、島原市の無職・宮本友樹被告(39)は、2023年10月、島原市有明町の自宅で、当時31歳の弟・雄司さんの胸や腹などを刃渡り約21センチの包丁で複数回刺し、失血死させた殺人の罪に問われていました。
被告は統合失調症や軽度の知的能力障害を患っていて、責任能力の有無などが争われた今回の裁判。
太田寅彦裁判長は「犯行の動機形成や犯行に統合失調症や軽度知的能力障害が一定程度影響を及ぼしているものの、その程度は限定的」「犯行態様は危険かつ悪質であり、強い殺意もうかがわれる」などと述べた一方、「被告人は同居する被害者から長年にわたる粗暴な言動に悩まされていた」「家庭内で問題の解決を図ることや周囲に援助を求めることも、現実的には困難な中で犯行に至った経緯には酌むべき点がある」などとして検察の懲役15年の求刑に対し、懲役12年の実刑判決を言い渡しました。
弁護人は、控訴について今後、被告人と協議するとしています。