去年、日本被団協にノーベル平和賞を授与したノルウェー・ノーベル委員会のフリドネス委員長(40)が初めて被爆地・長崎を訪れました。被爆者や平和活動を行う若者と意見を交わしたほか、原爆資料館を視察しました。
フリドネス委員長は23日午前、長崎市役所で鈴木市長と面会し、ノーベル平和賞のメダルのレプリカを手渡しました。
フリドネス委員長:
「原爆が投下されたその瞬間から長崎の街、被爆者の皆さんお一人お一人が世界に対して、私たちが共有しなければならない約束をされたと受け止めております。つまりもう二度と被爆者を生んではならないという約束です」
また、被爆者運動が『核のタブー』という考え方を世界に浸透させたと称えた一方、「『核のタブー』は壊れやすく、忘れないことが非常に大切だ」と述べました。
メダルのレプリカは2027年12月まで市に貸与され、広く市民に見てもらうため市が展示場所を検討するとしています。
午前11時。長崎原爆資料館を訪れたフリドネス委員長。
フリドネス委員長:
「私たちは言葉だけでなく、目的においても団結しています。だからこそ、ここに集い、みなさんと共にこの時間を過ごせることを心からうれしく思っています」
高校生平和大使や、ナガサキ・ユース代表団など22人の若者と約1時間意見を交わしました。
ナガサキ・ユース代表団バンダービーン新愛さん(19):
「あなたたち若い世代がこれからの希望だというふうに仰っていたのが、これまで平和に携わっている若い世代がしてきたことは間違っていなかったと思うとともに、今後もより一層(平和)活動に拍車をかけていかなければならないと感じました」
午後2時ごろには、原爆落下中心地碑に花輪を手向け、犠牲者に祈りを捧げました。
その後、原爆資料館を訪れ、井上館長の案内で視察しました。原爆の爆風や熱波が広がる様子を表すジオラマの説明に熱心に耳を傾け、被爆者の写真を見るなどして被爆の実相への理解を深めました。
約30分間見学した後、被団協の歩みを振り返るパネル展に立ち寄り、被爆者や支援者らおよそ60人が平和への思いを寄せ書きした横断幕を眺め、そのメッセージに深くうなずいていました。
午後4時前には追悼平和祈念館を訪れ、芳名録に「想像を絶する破壊を経験した長崎で亡くなった方々や語り継ぐ方々、苦しみを永遠に続く平和への叫びに変えた方々に心から敬意を表します」などと記しました。
フリドネス委員長:
「被爆者たちの話に耳を傾け、当時何が起きたのかを理解する、私たちのような被爆を経験していない者たちが被爆者たちのメッセージをつなげていかないといけません。これ以上被爆者をつくらないために、核兵器は今後絶対に使われてはいけません」
午後5時からは、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の代表委員で、長崎被災協会長の田中重光さんら被爆者4団体の代表らと面会。フリドネス委員長は「長崎に来て、核兵器の使用がいけないことを改めて学んだ」と述べました。