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【長崎くんち】本番まで31日!本石灰町・御朱印船 入港の所作と豪快な船回しに注目

2023年09月06日

4年ぶりに通常開催される長崎くんちまであと31日となりました。演し物を奉納する踊町では稽古が佳境を迎えています。

ひときわ大きな朱色の船が、囃子の響きと共に近づいてきました。今年、本石灰町が長崎くんちで奉納する御朱印船です。
5日、長崎市新地町の湊公園では、残り1カ月余りとなった本番に向け、稽古に励む「御朱印船根曳会」の姿がありました。稽古はこの日を合わせて残り9回ほど。船を曳く全員が心を燃やしていました。

根曳・松尾昭さん(34):「本番に向けてしっかりした奉納をするために今の稽古をしっかり精進して励んでいきたい」

さっそく本番さながらの稽古が始まりました。
御朱印船は、16世紀末から17世紀初頭にかけて長崎で活躍した貿易商・荒木宗太郎がベトナム王族のアニオー姫と結婚し、長崎まで一緒に航海する様子を表します。

御朱印船の見所は、何と言っても船の曳き回しです。長采が指揮を執り、囃子の音に合わせて根曳衆が船を前進、後進させたあと再び前進。そして全体重をかけて船を止め、息を合わせて「ヤー」の掛け声で曳き回します。1周「右回し」をした後、力を反転させて「左回し」、そして再び「右回し」。船の車輪が地面とこすれ、ギリギリと音を立てて回ります。歯を食いしばり、船を曳き回す根曳たちの顔は、約5tの船の重さを物語ります。

松尾さん:「中心をしっかりとるというところは各々毎回意識をしているが、その時その時で力の入り方や船の流れたりだとかが見受けられるので、そこをいかにどう修正するのかは1セット1セットの後に皆で共有しながら、細かなところは皆で修正をやっています」

稽古の途中にも積極的に声を掛け合い、ミスを改善します。

長采・原田伸一さん(44):「仕上げ段階に入った」(稽古初期と比べると?)「素晴らしい。一生懸命頑張ってきたのが今出ている。しっかり身にもついているので本番は間違いなく大丈夫だと僕は確信している」

約2時間にわたる稽古が行われました。夜も明るい思案橋横丁を通り抜け、御朱印船を格納庫へ。続いては、奉納後、福をおすそ分けする「庭先回り」の稽古です。囃子や礼といった所作のタイミングをつかみます。納得いくまで何度も繰り返し、午後9時ごろ、稽古が終わりました。

アニオー姫役・熊谷朱梨さん(8):「今まで以上の力を出し切って精一杯所作だったり、入港のシーンを頑張りたい」
長采・原田伸一さん:「豪華絢爛なこの朱色の素晴らしい素敵な船なので、豪快な船回し。そして根曳の歯を食いしばったところ。船だけではなく根曳衆も見ていただければ」

今年、本石灰町が掲げる長崎くんちのテーマは、「必ず笑う」と書いて「必笑」。どんな時も「楽しむこと」を忘れず、本番に向けて残りわずかとなった稽古を重ねていきます。