今年で70回目の節目を迎えた県内最大の公募展「県展」が県美術館で始まりました。
県展には日本画や洋画、彫刻、工芸、書、写真、デザインの7部門に去年より39点多い1342点の応募があり、747点が入選・入賞しました。
最高賞の西望平和賞に輝いたのは、佐世保市の原川広子さん(77)の書「由良の門を」。恋心を歌った百人一首の2つの句を仮名でしたためました。
書が最高賞を受賞するのは11年ぶりです。
西望平和賞・原川広子さん(77):
「自分が二十歳の時、どういう恋心だったかな、恋心をどんなふうに持っていたかなと懐かしんで、恋の歌を選んでみました」
審査員からは「起承転結がよく考えられていて展開力が素晴らしい」、「濃淡による中央の高まり、行の程よいゆれによる余白の美しさが、仮名作品特有の情感を見事に表現している」と高い評価を得ました。
退職後、何か始めようと50歳から書道を始めた原川さん。県展には22回出品し、記念すべき10回目の入賞が初の最高賞となりました。
原川広子さん:
「線質が大事ですけど、なかなかそこの線質を習得するのに時間がかかり、私はコツコツ型なので本当に長くかかりました。漢字とか他の部門のも少し勉強していかないといけないかなと思って、挑戦する気持ちはあります」
洋画部門で40歳未満の入賞者を対象とした特別賞「野口彌太郎賞」には、佐世保東翔高校3年の本田愛美さん(18)の「枝先の旅人」が選ばれました。彌太郎賞は2年連続で佐世保東翔高校の生徒が受賞しています。
佐世保東翔高校3年 本田愛美さん(18):
「長崎の街並みや海、木、建物、鳥、稲佐山やクレーン、すべてが詰まっていて、ペン画でぜひ描きたいと思いました」
家族で長崎市を訪れた際、南山手町のどんどん坂付近から対岸の稲佐山を眺めた景色。木の枝や、枝先に止まったイソヒヨドリなどは、0.3ミリの細いペンでシャープに描き込んでいます。
本田愛美さん:
「繊細さや、長崎の美しさがボールペンで伝わるといいなと思います。将来はショップのデザインやインテリアコーディネーターとしてインテリアの配置を考える仕事をしたいと考えています」
期間中の土日には、審査員による解説付きの鑑賞会を部門ごとに行います。
70回を記念して各部門に「70年県展記念賞」を設けたほか、子ども県展の受賞作も展示しています。
県展は県美術館で10月12日(日)まで。順次、佐世保、諫早を巡ります。
(佐世保市博物館島瀬美術センター10月16日(木)~10月26日(日) 諫早市美術・歴史館10月30日(木)~11月9日(日))