14日まで3日間、天皇皇后両陛下が即位後初めて長崎を訪問されました。初めの2日間は、長女・愛子さまも初めて長崎県を訪問され、多くの市民が出迎え、元気を頂きました。
初日の12日は、原爆落下中心地碑に花を供え、拝礼された天皇ご一家。戦後80年という節目を迎え、陛下は、愛子さまにも「戦争によって亡くなられた方々や苦難の道を歩まれた方々に、心を寄せていってもらいたい」と述べられていました。
午後6時、宿泊されるホテルに近い県庁でのちょうちん奉迎に多くの市民が集まると、ホテルの上に七色の虹がかかりました。午後7時ごろ、ホテルの一室の窓際に赤いちょうちんを手にしたご一家が姿を現し、共にちょうちんを振って応えられました。長崎港からも、奉迎の花火も打ち上げられ、ご一家もご覧になりました。
翌13日(土)の午前10時すぎ、天皇皇后両陛下と愛子さまは、恵の丘長崎原爆ホームを訪れ、入所している被爆者8人と懇談されました。
天皇陛下は「原爆の8月9日はどちらで?」、皇后さまは「大変な思いをなされて」などと声をかけられました。また、愛子さまは「こちらではどのようなことを楽しまれていらっしゃいますか?」と声をかけられていました。
両陛下は「愛子も熱心に耳を傾けて、入所者の方々のお話を伺っており、皆さんが経験された大変な苦難の一端に触れることを通じて、戦争の悲惨さや平和の大切さについて、思いを新たにしたものと思います」と感想を寄せられました。
入所者は「本当にうれしく思います。感動しました。涙が出ます」「本当に幸せです。一生の宝物です」「元気が出ました」など話しました。
午後からは、「ながさきピース文化祭」の開会に先駆け、県美術館で開催中の「全国障がい者作品展」をご覧になり、出展者と懇談されました。
鳥の目線で架空の町を描いた鳥瞰図「繋がってゆくまち」は、知的障害のある五島市の原塚祥吾さん(29)が描きました。
原塚さんの母・由美子さん:「こちらの絵は(息子が)10歳から(描いている)。約20年で13枚。とても細かく描かれていますねとおほめの言葉を頂きました」
原塚祥吾さん(29):「これからも頑張って描き続ける」
初めて長崎県を訪れた愛子さまは、戦後80年に際しての日程を終え、夕方東京に戻られました。
翌14日(日)、佐世保市体育文化館を訪問された天皇皇后両陛下。第40回国民文化祭及び第25回全国障害者芸術・文化祭「ながさきピース文化祭2025」の開会式を前に、9月21日(日)に長崎スタジアムシティハピネスアリーナで開かれる「みんな集まれ!ダンス&ダンス」に出演する地元の小中高校生のダンスチームの演技をご覧になり、拍手を送っていました。
天皇陛下:「ダンスはどういった点を工夫してダンスをされてるんですか?」
聖和女子学院高校3年の井澤くる美さん(17)は「みんなと気持ちを合わせて、見て下さっている皆さんに自分たちの踊りを楽しんでもらえるように頑張っています」と答えました。
聖和女子学院高校3年・井澤くる美さん(17):「見ていただけると聞いた時からとても緊張していたんですが、これをきっかけにストリートダンスの良さや長崎県の良さが全国に色んな所に広がっていくといいなと思いました」
宇佐美武史記者:「ピース文化祭の開会式が行われるアルカスSASEBO前です。両陛下のお姿を見ようと多くの人が集まっています」
アルカスSASEBOで行われた「ながさきピース文化祭2025」の開会式。総合司会は、長崎市出身の俳優・長濱ねるさん(27)。国家独唱は、長崎市出身のシンガー・ソングライターさだまさしさんが務めました。
両陛下が見守る中、創成館高校出身の水上恒司さん(26)、長崎市出身の森保まどかさん(28)、佐世保市出身のEXILETAKAHIROさん(40)ら著名人も出演し、長崎の歴史や文化を紹介する創作劇を繰り広げました。その後、両陛下は高校生平和大使ら、出演者と懇談されました。
第28代高校生平和大使(長崎南山高校2年)・高田健士郎さん(17):「高校生平和大使というのは自分が28代なので28年のこれまでたくさんの人が積み重ねてきて下さった歴史というものがあって、その人たちから託された思いというものもきょうの交流を通して伝えることが出来たのかなと自分では思っております」
両陛下は、訪問中、その日を終えての感想を宮内庁を通じて公表されました。「初めて3人そろって長崎県を訪れることができうれしく思います。80年前の原爆投下により、犠牲となられた方々に、哀悼の意を表するとともに、これまでの長崎の人々の苦難を思い、平和への思いを新たにしました」「初めて長崎県を訪れた愛子も改めて原爆被害の実相を肌で感じるとともに苦難を乗り越えてこられた長崎の人々の強い平和希求の思いを深く心に刻んでいます」
訪問中、両陛下や愛子さまが車で移動される度に、沿道には、その姿を一目見ようと、暑さや雨の中、何時間も前から待ち続け、車列が通り過ぎるその一瞬に心をときめかせる市民の姿がありました。