大村市で内縁の妻を殺害した罪に問われている74歳の男の裁判員裁判で、検察は懲役18年を求刑しました。
住所不定・無職の馬場恒典被告(74)は、2009年4月から6月ごろ、大村市で同居していた内縁の妻、松永千賀子さん(当時48~49)の頭などを鈍器のようなもので複数回殴り、殺害した罪に問われています。馬場被告は「私は殺していない」と無罪を主張しています。
松永さんは、2018年5月に諫早市多良見町の山中の倉庫内で白骨化した遺体で見つかりました。遺体は、倉庫内の木箱の中で土に埋められた状態でした。
15日の論告で、検察側は「遺体が見つかった木箱の中から被害者や馬場被告と結びつきのある枕カバーやシーツなどの生活用品が複数見つかっている」「いずれも2人の当時の家に存在していたと考えるのが自然かつ合理的」「犯人はプレハブ倉庫を管理していた人物で、殺害場所が2人の当時の自宅であったことを加味すると、馬場被告が松永さんを殺害し、遺体を木箱の中に入れたことを強く推認させる」としたほか、「馬場被告が血痕のついたマットレスを資材置き場で焼却したとする知人男性の証言は信用できる」などと主張しました。
その上で、「犯行態様は、強い殺意に基づく危険かつ残虐なもの」などとして懲役18年を求刑しました。
一方、弁護側は「マットレスに血痕が付いていたのであれば、遺体と一緒に発見された枕カバーやシーツにも血痕が付いていたはずだが、血痕は見当たらず、DNAも検出されていない」「松永さんの遺体が当時の自宅にあった証明はなく、殺害方法や時期も分かっていない」などとして無罪判決を求めました。
馬場被告は裁判長から「最後に言いたいことはありますか」と問われると、「私は無実ですが、証明する品がありません」「(弁護士の)先生は、私を信じて終始変わらず弁護してくれた。最後まで先生に感謝して判決を待ちます」などと述べ、裁判は結審しました。
判決は9月4日に言い渡されます。