2009年、大村市で内縁関係の女性を殺害した罪に問われている74歳の男の裁判員裁判が長崎地裁で始まりました。
小柳亮雄記者:
「馬場被告を乗せたとみられる車両が長崎地裁にやって来ました」
起訴状などによりますと住所不定の無職、馬場恒典被告(74)は、2009年4月から6月ごろ、大村市で同居していた内縁の松永千賀子さん、当時48歳から49歳の頭などを鈍器のようなもので複数回殴り、殺害した罪に問われています。
2人は当時、松永さんが働いていた長崎市銅座地区のスナックに馬場被告が客として訪れて知り合い、内縁関係に発展。その後、松永さんは行方不明となり、2018年5月に諫早市多良見町の山中の倉庫内で白骨化した遺体で見つかりました。遺体は倉庫内の木箱の中で土に埋められた状態でした。
松永さんの遺族は「ようやく裁判が始まる」「被告人が千賀子に何をしたのか、千賀子の身に何が起こったのかが明らかにされることを望んでいます」とのコメントを発表しました。
初公判で馬場被告は、「私は千賀子を殺していませんし、殴ったこともありません」「起訴状は全て否定します」と起訴内容を全面的に否認しました。
冒頭陳述で検察は、松永さんの遺体が馬場被告が独占的に所有するプレハブ倉庫で見つかったことや失踪時に、馬場被告が松永さんの両親に「県外の病院に入院した」とうそをついたこと。馬場被告が自身の口座で管理していた松永さんの元夫(故人)にかけられた3576万円の損害賠償金が、失踪と同時期に500万円が引き出されてほぼなくなり、金銭トラブルになっていた可能性。知人と一緒に松永さんの遺体を倉庫に運んだことなどを挙げました。
これに対し弁護側は「被告が松永さんを殺害する動機がない」「目撃証言や映像もない」などとして無罪を主張しました。
判決は9月4日(木)に言い渡される予定です。