駐日ロシア大使が8月9日の長崎平和祈念式典に参列する意向を示していることが分かりました。参列した場合は、2022年のウクライナ侵攻以降初めてとなります。
国営ロシア通信は26日にノズドレフ駐日ロシア大使が長崎市からの招待を受け、平和祈念式典に参列すると報じました。ノズドレフ大使は、「これまでの誤りが考慮されていると認識した」などと述べ、式典に参列する方針です。
長崎市は、ロシアがウクライナに侵攻した2022年以降、抗議デモなど不測の事態が発生する懸念などを理由にロシアと同盟国のベラルーシを招待していませんでした。
被爆80年の今年、長崎市は、原爆犠牲者の慰霊と世界恒久平和の祈念といった式典の本旨に立ち戻り、日本に大使館などを置く全ての国と地域に招待状を送るとしていました。長崎市調査課によりますと6月上旬、市の職員が直接、ロシアのほかベラルーシや去年、招待しなかったイスラエルの大使館をそれぞれ訪れ、これまで招待しなかった理由や今回招待に至った理由を説明したということです。
被爆者の山川剛さん(88)は、「特に核保有国は絶対に来てほしい。核兵器が使われたらどうなるかを、『頭』でなく『感性』で核の使用の怖さを知ってほしい。ウクライナ侵攻という悪いことをしているからこそ来ないといけない。核兵器使用の危機が最高に高まっているからこそ、被爆地を見て被爆者の話を聞いてほしい」としています。
ロシア代表が出席すれば、2021年以来、4年ぶりとなります。
一方、ノズドレフ大使は8月6日の広島市の平和記念式典については、広島市から宛名がない式典の案内が届いたのみだと批判。「あからさまに偽善的な内容だ」などとして、広島の式典には参列しないとしています。広島市は今年、招待状ではなく案内文を送る方式に変更し、式典に参加するかどうかは各国の判断に委ねていました。