長崎市は被爆から79年となる今年8月9日の平和祈念式典に、全ての駐日大使を招待する意向を示しました。ウクライナに侵攻し、核兵器による威嚇を繰り返したロシアとその同盟国のベラルーシに関しては、侵攻したおととしと去年は招待しませんでしたが、今年は「期限ぎりぎりまで検討する」としています。
鈴木長崎市長:
「昨年度も不測の事態の発生を懸念してロシア・ベラルーシは招待しておりません。今年度どうするかについては世界情勢も日々変動しているため、ぎりぎりの時点、具体的には招待状を発送する期限が今月末なのでその時点まで、ぎりぎりまで状況を見ながら検討したい」
定例会見で鈴木市長はこのように述べ、「いかなる国であっても被爆の実相に触れ、平和の尊さを知ってもらうべく全ての大使を招待する」という基本的なスタンスを主張しました。
鈴木長崎市長:
「核兵器保有国であろうが、核の威嚇を行っているような国であるからこそ、被爆地を訪れていただいて被爆の実相に触れていただく、それによって実際に核兵器が使用されたらいかに非人道的な破滅的な結末になるのか、それをしっかりと理解していただく、そのためにも全ての国に長崎に来ていただいて、平和祈念式典に参列していただきたいという思いがあります」
長崎市はおととしロシアがウクライナに侵攻する前まではロシアを含む核保有国の駐日大使らを招待してきましたが、去年とおととしは、「不測の事態」に備え、ロシアとベラルーシを招待しませんでした。
一方、広島市は4月24日、8月6日の平和記念式典に、イスラエルを招待する方針を示す一方、ロシアとベラルーシを招待しないことを明らかにしています。
これについて長崎市は「主催者は全く別個。広島市の判断が直接、長崎市の判断にはつながらない」としています。ガザでの戦闘を続ける事実上の核保有国イスラエルについては…
鈴木長崎市長:
「その判断の基準は不測の事態の発生が懸念されるのかどうかということでございます。不測の事態の発生ということに関して、それぞれの国に違いがもしあれば、そこの部分で判断が分かれてくることはあろうかと思います」
被爆から79年となる今年8月9日の平和祈念式典は去年同様、参列席約2400席、一般参列席約1000席を用意します。一般参列席は、5月27日(日)から6月28日(金)までに市のホームページかはがきで事前の申し込みが必要です。定員を超えた場合は抽選になります。当日は去年同様、午前7時半から式典終了ごろまで平和公園内の入場規制を予定しています。
このほかアメリカのグラム上院議員(68)が5月、日本への原爆投下について「広島、長崎に原爆を投下して戦争を終わらせた。正しい決断だった」など正当化する発言を繰り返したことについては次のように述べました。
鈴木長崎市長:
「長崎・広島の原爆投下で、いかに非人道的破滅的な結末が起こったか、それを踏まえればいかなる理由をもってしても原爆投下は正当化されるものではない。誰がどういう理由で言おうと原爆投下、核兵器の使用は正当化の余地は1ミリもない」