約1年10カ月の間、認知症で行方不明になっている長崎市の坂本秀夫さん。捜し続ける家族が講演し、自分ごととして考え、各家庭で対策を講じるよう呼びかけました。
江東愛子さん(46):
「いつ誰の身に起こるかわからないです。私たちみたいな思いはしてほしくないので、他人事ではなく、自分ごととして考えてほしい」
長崎市の江東愛子さん。この日が初めての講演でした。
父・坂本秀夫さんは、73歳だった2023年の4月、自宅から散歩に出たまま行方不明になりました。62歳のときに、「若年性アルツハイマー型認知症」と診断されましたが、身の回りのことはほとんどでき、症状は「軽度」でした。認知症やその疑いがあり、行方不明になった人は年々増え続け、2023年はのべ1万9039人と過去最多を更新しました。
江東愛子さん(46):
「つらくて毎日つらいです。夜中とか1人で何もしない時間ができると突然、恐怖感というか父のことを想像するとやっぱり安否もわからないということがすごくつらいので、だから本当に言葉にできないこの気持ち、不安感に襲われて、たまに本当にどうにかなりそうに今でもなります」
愛子さんはNPO法人を立ち上げ、去年9月から同じ境遇となった家族の相談に応じ、支援する活動をしています。警察に連絡するなど初動が重要であることのほか、もしもの時に備えて、GPSなど家族の中で対策を話し合うよう呼びかけました。
長崎市内では2023年度、161人が行方不明になり、そのうち2人が亡くなっています。発見した人の内訳は、警察(40人)より地域住民(45人)の方が多かったといいます。
講演会を企画した
大園小校区コミュニティ協議会・窪田晃子さん:
「地域で捜して見つけたということを実際に体験していますので、地域で見守りや支え、何かあった時に助け合える地域にしたいと思っている」
社会福祉士の男性:
「自分はならないという思い込みがあるんだけど、ならない保証はないわけで、みんなで地域社会で見守って助け合うというそういうシステムをシステムまでいかなくていいからそういう思いを育てていく必要がある」
江東愛子さん(46):
「大事な家族が見つからないのは耐え難いので誰にも本当に味わってほしくないことだし、そこはずっと言い続けたいと思います」