先週、対馬市の港に入り込み、話題となった幻の巨大ザメ「メガマウスザメ」。
その後、どうなったのか?実は長崎市に運び込まれていました。
先週、突如、対馬市の港に現れ、住民たちを驚かせた巨大生物。水中カメラが巨大生物の全貌をとらえていました。
長崎大学水産学部・山口敦子教授:
「これはメガマウスザメというサメですね」
大きな口からその名がつけられた「メガマウスザメ」。
1月29日、対馬市沖で定置網にかかり、沖に放しましたが、翌日、再び港に現れました。
国内での確認は珍しく、これまでわずかに30例ほど。日本海側では、今から30年ほど前の1994年、博多湾での確認のみで今回で2例目、長崎では初めてのことでした。
対馬市に現れたメガマウスザメは残念ながら、その後、死んだことが確認されました。
日曜日、メガマウスザメは研究のため対馬から船で運ばれ、長崎大学水産学部の山口敦子教授の元へトラックで運び込まれました。メガマウスザメは太平洋を周遊しているとみられていますが、繁殖方法や寿命などは分かっておらず、生態に関する多くのことが謎に包まれています。
男の子:「わー!食べられたらおしまいだなって感じ」
人の力では持ち上げられないほどの巨体。人と比べるとこの通り、その大きさに圧倒されます。男性が6人がかりでようやく少し動くほどの重さ。
体長は約5メートル、体重は約670キロありました。その名の由来となった大きな口は、人をすっぽり飲み込んでしまいそうなほどの大きさです。
その巨体に似合わず、エサはプランクトン。口の中には鰓耙(さいは)と呼ばれるブラシ状の突起物があり、海水とともに飲み込んだプランクトンだけをこし取ることができるそうです。
長崎大学水産学部・山口敦子教授:
「毎回こういうのってなかなか出会うか出会わないかというのがあるので、何十年ぶりかにメガマウスを解剖できるというのは感慨深い。きちんと調べてきちんとした学術的な資料を残したいと思います」
解剖して、体の中も調べていきます。山口教授もメガマウスザメの解剖は学生以来。初めて日本海側の博多湾で確認されたメガマウスザメを調べた1人です。
解剖したことで確定できた事実がありました。
長崎大学水産学部・山口敦子教授:
「メスです。これが子宮ですね。何も入っていない状態です」
大学院生(23):
「初めて見ました。このような貴重な機会に立ち会わせていただいて幸せです」
研究員(28):
「二度とないよね。二度とない経験だと思うので、連れてきてくれてありがとうございます」
こうした貴重な経験が、人材を育てることにつながっています。
大学3年生(22):
「魚の勉強をしていきたいと思ってます。モチベーション上がりますよね」
(Q.想像を超えたことは)
「全部想像を超えている。本当に本でしか見たことないので」
たまたま大学を訪れていた子どもたちも興味津々です。山口教授らは今後、骨や筋肉、胃の内容物を詳しく調べ、論文にまとめる予定です。
長崎大学水産学部・山口敦子教授:
「筋肉を分析することで長期的にどういうエサを食べていたか推測できる。繁殖に関して知りたかったので、子宮や卵巣がどういう状況かというのは詳しく調べようかなと思ってます。日本海側にめったに現れないので、どういう状態で現れたのかを分析をして何か一つの知見が得られたらいいと思う」
データを一つずつ積み上げることで、真実に迫れる世界。
長崎での研究成果が謎を解き明かす大きなきっかけになるかもしれません。