長崎くんちは昨夜、笑顔と涙の感動のフィナーレで幕を閉じました。
昨夜8時27分。奉納踊りと約2500軒の庭先回りを終え、銀屋町の「鯱太鼓」は町に帰りました。
小さな町にあふれる観衆―。最後は、支えてくれた家族や友人、職場の仲間、そして、町の人たちに感謝の「仕舞踊」です。やまない「モッテコーイ」の掛け声。3日間の疲労もピークの中、担ぎ手たちは「心意気」でその声に応じ、山飾を天高く上げました。
長采・髙田雄康さん(55):
「いろいろ語れないこの気持ちですね、『ありがとう』と感謝の気持ちでしかありません。本当にありがとうございました」
据太鼓(初)・山本明日斗さん(19):
「きつかったですけど、それ以上に楽しいが勝ちました」
据太鼓(初)・松本千穂さん(18):
「緊張もしたんですけど、それも良い経験だなと思ってます。また7年後も出たいなと思います」
据太鼓(初)・出田昇ノ介さん(13):
「きついこともあったけど、楽しいことや、うれしいことが多くて、よかったかなと思います」
昇ノ介さんの母・知加子さん:
「息子の名前をですね、昇ノ介、(弟を)龍ノ介と付けてますので、親の願いとしては、7年後どこかで2人で『昇龍』をたたいてくれたらなと思います」
28歳の山村修生さん。5年前に亡くなった元担ぎ手の父、豊さん(享年53)の背中に憧れ、今年初めて担ぎ手を務めました。
担ぎ手(初)・山村修生さん(28):
「普段はあまり出てこないんですけど、この3日間はどこかに父がいる気がして、恥ずかしくない奉納が出来たかなと思ってる。『ようやった』と言ってくれてると思います」
高校の教諭で、担ぎ手を初めて務めた大野大輝さん(35)。教え子たちも駆け付けました。
担ぎ手(初)・大野大輝さん(35):
「『ヨイヤー』といっぱい言ってもらって、その声で頑張れるというか、それで涙をするというか、本当に“感動の連鎖”というかそういうのがくんちにはあるなと感じましたね」
厳しい稽古を乗り越えてきた銀屋町。最後は町一体となって奉納の無事達成を祝いました。
午後8時半、龍踊を奉納した五嶋町は、五島町公園で仕舞踊を行いました。大勢の観衆に囲まれ、最後の演舞です。この3日間、何度も披露して来た龍踊。「最後の時」が近づき、囃子の子どもたちの目にも光るものが見えます。
小川悟龍副監督:
「きょう最高の誕生日を迎えることができました。みんなありがとう!!」
山口俊介龍衆キャプテン(47):
「龍衆、子どもたち!お前らとやれて良かった!ありがとう!!」
観客:「迫力がすごかったです。(7年後)必ずまた見に来ようと思います」
終わってしまった寂しさから、涙が止まらない子どもたちも…。
末永唯真さん(小鉦):
「皆と練習頑張ってきて、最後でもう会えなくなっちゃって、何か、終わっちゃってすごく悲しい」
総勢120人が出演した五嶋町は、親子で出演し、絆を深めた親子も多かったようです。龍衆のキャプテンを務めた山口俊介さん(47)は、長喇叭を担当した高校3年生の娘・志帆さんと共に出演しました。
娘・山口志帆さん(長喇叭・海星高3年):
「新しいお父さんを見られました」
父・俊介さん:
「(来春)県外に出るとして、また7年後、もう一回出たいと思った?」
娘・志帆さん:
「思いました」
父・俊介さん:
「4年後(大学を)卒業して帰ってきてくれると信じています」
娘・志帆さん:
「7年後のおくんちに、出られるように、練習をもっとします!」
龍衆・松尾眞悟さん(娘の小鉦・美弥妃ちゃん):
「子どもと一緒に出られて今は幸せですね、きつかったんですけど、子どもが一番きつかったと思います。最初はきつくて行きたくないって言ってたんですけど、行く度に、練習が休みの日も行きたいって言って、すごく大人になったと思います。褒めてやります」
娘・南部妃七ちゃん(桜町小5年・パラパラ):
「皆が泣いていたから、もらい涙が出た」
父・南部達克さん(46)(宝珠衆):
「色んな天候状況の中、よく頑張ってくれたと思う。五穀豊穣を祈願する踊りですので、雨もあったり晴れもあったり、いい天候の元、龍踊できたのかなと思います」
最年長の龍衆、古城佳三さん、65歳。頑張ったお爺ちゃんを労いに、5人の可愛い孫が駆けつけました。
古城佳三さん(65):
「孫ですね。ここ全部孫です」
孫・宮本香凛さん(14):
「普段は温厚な人なんですけど、力強く龍を振っているところを見て、新たな一面を見られたと思う。かっこいいなというのがより強まりました」
古城佳三さん(65):
「うれしかったですね。若い人たちとね、これだけやれたから。一つの自分の勲章でもありますよね、一生懸命やれて、こんな経験は出来るわけではないですからね。まだまだ自分の人生をやっていくつもりですので、その糧にしたいと思いますね」
そして早くも、7年後の出演に意欲を見せる出演者も…。
中村重遠さん(宝珠衆):
「第一線に立ちたい、立ちたくなりますね。(7年後は50歳)高さと勢いを保持できなかったら、排除されてしまいますので、それに負けないくらい頑張っていきたいと思います」
南部悠太郎くん(大太鼓・桜町小6年):
「この3日間を通して、(五嶋町の龍踊が)すごく重要な役割を持っているなと思った。(次は)出来れば龍衆かな…。一生懸命頑張りたい」
中村重敏協賛会長:
「10年後に、いや7年後につなげていきましょう。ありがとうございました。本当にありがとう」
鳴りやまない拍手と共に五嶋町のくんちの幕が下りました。