高校時代、世界を舞台に活躍した最強スプリンターの今に迫ります。『大学で失敗した。それでも9秒台で走る日は遠くない』と語る、その根拠とは…。
夏休み終盤の8月下旬。20人ほどの小学生に笑顔で指導しているのは、プロランナーの池田成諒さん。
「将来は五輪に出て金メダルを取りたい」
これまでNCCは、池田さんの取材を重ねてきました。スポーツへの入り口はレスリング。5歳で始め、小学5年生の時には日本一にもなりました。その後、陸上の短距離走に転向すると、第二の才能が開花します。高校1年で国体初優勝。高校2年では、世界を舞台に銅メダルを獲得しました。(ユース五輪陸上100m10秒30、2018年ブエノスアイレス)
【高校1年時・池田成諒さん】「私の夢は世界でトップ選手になることです」
世界を見据え、島原から筑波大学へ。
「大学1年生の時が2020年東京五輪の年。高校卒業前の冬も2カ月弱アメリカに練習に行って本気で日本代表を狙って、五輪の代表になれるんだと思って取り組んでいたので」
それから4年。大学卒業を控え、部活のコラムに彼が記したタイトルは『私はなぜ大学で失敗したのか』。
「はたから見れば『10秒3で走ったんだから失敗じゃないでしょ』って思われる方もいると思うけど、私の中では(100m)9秒台出して代表に入ることが目標で、達してない時点で全て失敗だった」
『失敗』と評価した大学時代を経て、この春、プロになることを決意。22歳にして起業し、代表取締役になりました。
「自分の結果に対して甘えや言い訳を一切つくらず、ここからは結果が出なけ れば『自分の責任』。結果が出たとしても自分が取り組んできた確証を持って進みたいと思いがあってプロになることを決意しました」
自らを厳しく律し、茨の道を選択。慣れない環境ながらも、長崎県記録となる2年ぶりの自己ベスト(10秒26)を更新しました。
池田さん、あるものが大好きなんだとか…。
「データを見るのがすごく好き。研究もめちゃくちゃ好き」
自らの走りを数値としてデータ化し、第三者の視点で研究しています。
Q、データの中で見る池田成諒のスプリンターとしての強みはどこ?「一番はトップスピードが出るところ。自分のデータを客観的に見る中で100m選手と して9秒台、10秒0台日本のトップに至る数値をもう既に去年の段階で出していて」
池田さんの分析データによると、100m中のトップスピードが9秒台をマークした経験のある桐生選手、山縣選手らと大きな差がありません。トップ選手に近づくための課題は…。「トップスピードに向かっていく加速局面、スタート。一番改善すべき点加速局面以外は既に日本トップ、世界トップのレベルで出せている。スタートの技術のところだけ人並み、それ以上に出来れば9秒台で走る日はそう遠くないと思う」
この日の陸上教室では、地元・島原の子どもたちに走ることの楽しさを伝えました。今回参加した児童の中には9月22日(日)、国立競技場で開かれる小学生の全国大会(日清食品カップ)に出場する選手もいます。
幼い頃からぶれずに語り続けた『目標』。『失敗』を乗り越えた人間は、強い。
「高校時代活躍して、大学の4年間で失敗してあまり良い報告が出来てなかった。ここからの4年間、ロス五輪に向けて過去の4年間失敗したけど、ここからの4年間は絶対に成功して皆さんにもっと良い報告が出来るようになるのでぜひ応援いただければ幸いです」