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中止の長崎くんち奉納踊 踊町の思いは…

2020年10月07日

10月7日は長崎くんちの前日ですが今年はコロナの影響で奉納踊などが昭和天皇の容体が悪化した1988年以来32年ぶりの中止となりました。今年出演予定だった6つの踊町の今、そして来年への意気込みを聞きました。長崎市の諏訪神社には朝から参拝に訪れるくんちファンの姿が見られました。長坂には奉納踊の映像を見ながら7年前のくんちを「再現」する人も。長崎くんちは江戸初期の寛永11年(1634年)から386年の歴史を持つ国の重要無形民俗文化財です。毎年10月7日から3日間、7年に一度、出番が回ってくる踊町が諏訪神社に演し物を奉納します。32年ぶりの奉納踊、お下りお上りの取り止めの発表から半年。本来なら、厳しい稽古の末、緊張と万感の前日を迎えるはずだった今年の6カ町の今の気持ちは…。「御朱印船」を奉納する本石灰町にある思案橋横丁では今年も10月1日からシャギリを流しています。本石灰町の御朱印船は「エイ・オー」の掛け声で勇壮に回る「赤くてふとか船」。江戸時代、ベトナムとの貿易を繰り広げた船の大航海を表現します。根曳たちは繰り延べが決まっても、月に一度集まってウォーキングするなどして士気を高めてきました。「本踊」を奉納する桶屋町。傘鉾の飾である象にちなんだ踊りが特色です。7年前は一番町として藤間流の名取たちが本踊「錦照弥栄宇舞社」を奉納。今年は、正式な出演契約となる「結納」を終える前に中止が決まりました。激流に立ち向かう様子を表す根曳衆の曳き回し。7年前は「ヨイヤー」の喝采を浴びながら、躍動する船回しを見せました。「阿蘭陀萬歳」を奉納している栄町。長崎に流れ着いたオランダ人が、生計を立てるため万歳を覚え、正月の町を回る筋書きを演じるコミカルな演目です。今年は男性同士と女性同士、2組の万歳と才蔵が踊る新しい趣向を考えていました。長崎検番のお膝元、丸山町は本踊。前々回41年ぶりにくんちに復帰し検番の芸妓衆らが踊りを奉納しています。今年は町と検番が一体となって「丸山ならではの演し物」を模索してきました。万屋町が奉納する「鯨の潮吹き」。町内の宿に滞在していた呼子の鯨組の頭の勧めで江戸中期の1778年(安永7年)に奉納したのが始まりの人気の演し物です。大海原で潮を噴き上げる鯨を捕らえようとする漁の様子を生き生きと表現します。「鯨」も竹を組み上げ、ほとんど完成していました。来年奉納できるかはまだ決まっていませんがそれぞれの町の人もくんちファンもコロナ禍を乗り越え、来年の奉納に期待を寄せています。