
体重110キロ、食事の量は「普通」。でも、甘いものが大好物な中嶋航大記者(32)が、街のリアルな声を頼りに長崎の“うまい!”を探し歩く「満腹記者」シリーズ。今週はJR長崎駅前からスタートです。ロケ開始早々、スペインからの観光客に「一緒に写真を」と声をかけられ、思わぬ国際交流にほっこり。英語力のなさに苦笑いしつつ、長崎のグルメ探しが始まります。
出会ったのは、これから映画を見るという23歳の幼なじみ仲良し男性コンビ。「ちょっと高級店なんですけど」という前置きをして教えてくれたのは...
「銅座町のSORAUMIがおすすめ!」
「3秒で食べられる肉みたいな」
「3秒で食べられる」について、さらに突っ込むと、フリスビーみたいに大きな薄い肉で、片面3秒、両面焼いても6秒で焼き上げるとのこと。興味をそそられる情報に今回は、幼なじみコンビのイチオシ「SORAUMI」にロックオン。
「SORAUMI」は、2021年9月にオープンした焼肉店。オーナーの植松洋平さん(40)が厳選して扱うのは、兵庫県但馬地方の「但馬太田牛」です。 「日本全国の和牛のルーツと言われている牛。言ったら原点みたいな」 「但馬牛」は、日本各地のブランド和牛の「血統の源」とも言われ、和牛改良の基礎となってきた、いわば「原点」の牛です。その但馬牛の中でも「太田牛」は、年間出荷数が極めて少ないといいます。もちろん肉質・味ともに一級品です。 まずいただいたのは「但馬太田牛のユッケ」(1,680円)。厳しい衛生基準をクリアし、長崎市内で唯一生食用肉を保健所に届け出ている店だからこそ味わえる“合法ユッケ”です。赤身の内モモ肉は、とろっとした食感とピリ辛韓国風の味付け。ごま油の香りが絶妙です。雌牛だけを使うことで脂質も良く、肉本来の旨みを堪能できます。 前例がなく、許可を取るのに1年くらいかかったそうです。苦労してまで厳しい衛生基準をクリアした背景には、植松さんの但馬太田牛への強い思い入れがありました。 「融点も低くて脂質も良い。生肉なので但馬太田牛のおいしさが一番わかると思います」 続いては「但馬太田牛 特選大判ロース」。2枚で2,400円。こちらが聞き込みで教えてもらった、「フリスビーみたいなサイズで3秒で食べられる肉」のはずですが... 「たぶん6秒ですね3秒だと生になっちゃうので、サーロインを薄めにスライスしているので6秒で火が通る」 片面6秒ずつ、合計12秒炙って食べる“大判ロース”です。ふわっふわの食感と肉の旨みが口いっぱいに広がります。脂の融点が低い但馬太田牛だからこそ、口の中でスッとほどけていく味わいは感動ものです。 「でも…これ一口1200円ですもんね。うわぁ…でもその価値ありますね」 植松さんは大学時代のアルバイトで焼肉の世界に入り、卒業後はスーパーの精肉部門で肉の扱い、切り方、見極め方を学びました。そして33歳の時に家族を長崎に残し、夢を追って東京で修業。昼は焼肉店、夜や休日は別のアルバイトと、睡眠時間わずか3時間のトリプルワークを続け、2年間で開業資金を貯めました。修業先で出会ったのが、但馬太田牛でした。 「肉本来の味って存在したんだと衝撃を受けて、食べた瞬間に但馬太田牛でいこうと即決した」 長崎に戻り店を出したのは、飲食業界に逆風が吹いていたコロナ禍の2021年のこと。「コロナのせいにしていたら、何をやってもうまくいかない」という強い気持ちで決断しました。店名「SORAUMI」は、「大空(そら)」と「澄海(うみ)」お子さんの名前です。 厳選した肉と確かな技、家族への思いが詰まった焼肉店「SORAUMI」。長崎で味わう本物の和牛と特別な焼肉体験が待っています。 希少な肉だけあって値段もやや高めでしたが、ご紹介した単品メニューのほかに、5800円からのコース料理も用意されていました。生産者直送の肉を使っているため、仕入れの状況によって休業となる場合もあるそうです。詳しい営業日は、店のインスタグラムをご確認ください。 YAKINIKU SORAUMI
希少な但馬太田牛を味わう焼肉店「SORAUMI」
衝撃の“合法ユッケ”と“6秒ロース”
肉への情熱と家族への思い
満腹後記
住所 長崎市銅座町6−9 徳山ビル 2F
営業 17:00~23:00 ※仕入れ状況次第で変更有
休み 不定休
インスタグラム @yakinikusoraumi