
体重110キロ、食事の量は「普通」。甘いものとお米が大好きな中嶋航大記者(32)が、街の人々に聞き込みながら「長崎のうまい!」を探し歩く「満腹記者がゆく」。今回の舞台は長崎市。午前9時半、人通りの多い浜町のアーケードからスタートするも、悪天候と朝の忙しさに阻まれ、なかなか情報が集まらない満腹記者。
アーケード内で2時間半、その後、中央橋や出島ワーフ周辺でも聞き込みを続けるも、取材NGが続き、なかなかお店が決まらないまま時間だけが過ぎていきます。午後4時、長崎駅前でようやく声をかけられそうな専門学生の二人組を発見。おすすめグルメを尋ねると 「みち亭のカボチャスープがおいしい」 長い聞き込みの末に素敵な情報にたどり着きました。ということで、今回は、専門学生の思い出の味「みち亭」にロックオン。 「みち亭」は、長崎市光町・稲佐橋バス停前にある洋食レストラン。1993年(平成5年)に浦上のカトリックセンターの前で創業しました。料理人歴54年のオーナーシェフの道 行伸さん(72)と妻の町子さん(72)が、夫婦で30年以上切り盛りしています。京都のホテル、神戸の有名レストランで腕を磨いた道行さんが、ある思いを持って開いたお店です。 「みち亭といえばカボチャスープ」(行伸さん) 専門学生が話していたように、「みち亭」にとってかぼちゃスープは、特別のメニューのようです。ハンバーグ、海老フライ、ビーフシチュー、カレーもある洋食店。悩んだ末、行伸さんが一番人気とおすすめしてくれた「和風ハンバーグセット」をお願いしました。 名物「カボチャスープ」は、器もカボチャ型でかわいらしく、開けると鮮やかな黄色が目に飛び込みます。カボチャそのものをピューレにした濃厚なスープは、野菜の甘みがぎゅっと詰まり、最後に玉ネギの風味がふわりと広がります。 みち亭一番人気の「和風ハンバーグセット」(1,540円・カボチャスープ含む)。牛と豚の合い挽き肉を使い、パン粉をまぶして香ばしく焼き上げ、オーブンでふっくら仕上げます。肉汁たっぷり、ふわふわ食感のハンバーグに、自家栽培の野菜で作った特製和風ソースが絡み合い、ショウガやニンニクの香りが食欲をそそります。 「芋づるですね。年配の方はご存じなんですけど芋のつるを食べるんです。シャキシャキしておいしいと思います」(行伸さん) 付け合わせの野菜にも自家製が並びます。初めて食べる芋づるは、ごま油と唐辛子の隠し味。そして、無塩バターと醤油で仕上げたマッシュポテト、ゴーヤのあっさり和風味など。野菜ごとに味付けを変え、素材の美味しさを最大限に引き出すのが「みち亭」流です。 京都のホテルで修業を積み、著名人も多く訪れる神戸の有名レストランでも腕をふるってきた、オーナーシェフの行伸さん。ふるさと長崎で店を構えた背景には「野菜のおいしさを届けたい」という思いがありました。 「両親が百姓だったので野菜のおいしさが舌に染みついていて忘れられない。本能的に自分で野菜を育てて、料理を作ってみたいと長崎に帰ってきた」 「朝、畑に行って収穫してお皿に乗った状態を畑でイメージする」 30種類以上の野菜を畑で育て、収穫し、その日のうちに調理。町子さんは「24時間一緒に働いているけど、お客様に美味しいものを食べてほしい一心で頑張っています」と微笑みます。みち亭の料理には、夫婦の真心と丁寧な手仕事、そして長崎の自然の恵みが詰まっています。 「食べている間だけでも、料理で心が温かくなってもらえたら、それが料理の役目」(行伸さん) 街の洋食屋で味わう、どこか懐かしく優しい味。季節ごとに表情を変える野菜と温かな雰囲気に包まれて、今週も満腹!満腹! かぼちゃのスープに使っている「万次郎かぼちゃ」もご夫婦で育てているそうです。また、スープの表面には模様が描かれていて、今の季節は、カエデをイメージしたデザインでした。お客さんによってデザインを変えることもあるそうなので、ふたを開ける楽しみもありますよ。 レストラン みち亭
「小さい頃から行っていて、家族全員で食べに行くとか、 近くに行った時に食べます」
夫婦二人三脚で営む、街の洋食店
看板メニュー「カボチャスープ」のやさしい味わい
「セットメニューがカボチャスープ付き」(町子さん)
一番人気「和風ハンバーグセット」
料理に込めた夫婦の思い
満腹後記
住所 長崎市光町9-6
電話 095-864-0141
営業 11:30~14:00(L.O.)
17:00~19:30(L.O.)
休み 火曜夜 ※臨時休あり