幻想的な「光の切り絵」の世界を体験できます。没入型アート展「旅する光の切り絵展」が長崎歴史文化博物館で始まりました。
長崎市のマンホールが、九十九島の景色に。薄さの違う切り絵を重ね、光の当て方を変えることで、1枚の絵から2つの表情が浮かび上がる「一画二驚(いちがにきょう)」。光で物語が生まれる「光の切り絵」の世界です。
17日に始まった「旅する光の切り絵展~くうそうって、まほうだよ~」は、愛知県在住の切り絵作家・酒井敦美さんの「光の切り絵」27点を展示しています。
「光の切り絵」は、和紙をデザインカッターで切り取った繊細な切り絵に、光や音楽を融合させることで、幻想的な空間を演出する酒井さん独自の技法です。
万華鏡の中を歩くような感覚が楽しめる「音彩万華鏡(おといろまんげきょう)」など、物語の世界に入り込んだような没入感に浸れます。
酒井さんが光の切り絵を始めたきっかけは舞台美術。切り絵をプロジェクターに載せて舞台に投影する演出に携わる中で、独自の「光の切り絵」を確立させていったといいます。
光の切り絵作家 酒井敦美さん:
「私の切り絵は光という絵の具がセットで始まりました。光と切り絵の組み合わせがこんなに楽しんだなということ知っていただけたらうれしいです」
佐藤綾子アナウンサー:
「こちらは長崎会場の新作『地球スケッチin長崎』です。幅20m、高さ5mの大空間に、長崎の文化、自然、歴史が繊細で温かみのある切り絵で表現されています」
3台のプロジェクターを使って展示室の壁全体や吊り下げた布に映し出された長崎の情景。「地球スケッチ」は展覧会の開催地ごとに製作しているシリーズで、酒井さんがその地で感じた思いが込められています。
去年10月と今年4月に長崎を訪れた酒井さんが出会った、唐八景のハタ揚げ大会。諫早市・轟峡の緑や滝。廃バスを活用した佐世保の「バス公民館」など旅の感動を光の切り絵に落とし込みました。
酒井さんがこの旅で最も心に残ったと話すのが、原爆資料館などで触れた被爆の実相。浦上天主堂や平和祈念像をモチーフに、原爆と復興の歴史、平和への祈りを表現しています。
酒井敦美さん:
「自分自身が当たり前に感じているような、自由なことで生きることができたり、絵描きとして生きたいと思ってその道を選べたり、家族や友人たちと笑って過ごす日常が、どれほど尊いものなのか。自分なりにまっすぐ描いたつもりです」
旅に同行した音楽チームが現場で収録した音と、幾重にも重なる光に包まれる、体験型の作品です。
九州初の展覧会「旅する光の切り絵展」は9月6日(日)まで。18日(土)は、酒井さんのサイン会が開かれます。