2019年の火災で焼失した沖縄県の首里城。かつて正殿を彩っていた「垂飾(たれかざり)」の刺繍が、長崎の大学教授の手によって復元され、お披露目されました。
深紅の布地に、緻密な刺繍が施された「垂飾」。縦24センチ、横幅は約3.6メートルあり、布地には炎が燃え上がるような「火焔宝珠」や、2体の龍を描いた「龍文」、めでたいことの前兆とされる雲「瑞雲文」など、きらびやかな文様が手作業であしらわれています。
装飾部分の復元を担当したのは、長崎市の活水女子大学健康生活学部の教授で、首里出身の寺田貴子さん(70)です。
寺田さんは刺繍作業に加え、保存会の技術継承者への製作指導や、全体の監修も担いました。垂飾は、国家儀式や政治が行われた首里城正殿1階の「御差床(うさすか)」の正面に飾られていたものです。
首里城は、15世紀初頭から450年間続いた琉球王国時代の王城で、1945年の沖縄戦、2019年の火災など、これまでに5回焼失しました。
寺田貴子さん:
「(2019年の)首里城の焼失は本当に言葉を失うというのを体感した出来事でした。(後世に)繋ぐ役割を与えていただいたことを実感しています」
復元された垂飾は、「琉球古刺繍」と呼ばれる、裏側に糸を渡さず表側だけで組み合わせる琉球王国時代の刺繍技法が用いられています。復元までに約5年の歳月が費されました。
寺田貴子さん:
「私が命名させていただいたんですけど、『琉球千鳥繍い』と、『本綾織り繍い』という、裏に糸が全く渡らない、表面だけで処理しているけれども重厚感があるという、この2つの刺繍は琉球独特でした」
復元された垂飾は、今年秋、完成予定の正殿内に掲げられる予定です。