原爆で被爆した日本最古の人体解剖模型「キュンストレーキ」。保存する長崎大学はこの貴重な資料を保存・修復するためエックス線検査を始めました。
宇佐美修徳堂 宇佐美直治社長:
「おーすごい。これだけ入っていると思わなかった」
日本最古の紙製人体解剖模型「キュンストレーキ」。長崎大学医学部の前身、長崎医科大学の創設に携わったオランダ海軍医のポンぺが教材として使うため1860年にフランスから取り寄せたものです。日本の医学教育の出発点を示す第一級の資料とされています。
「キュンストレーキ」が保管箱から取り出されるのは2012年の補修以来13年ぶりです。高さは台座を含め約110センチ。原爆による消失はまぬがれたものの右半身だけとなりかろうじてその姿をとどめています。
検査を担うのは文化財修復を行う京都の「宇佐美修徳堂」です。これまでに京都・仁和寺の平安時代の掛け軸など数多くの修復を手掛けてきました。
宇佐美修徳堂 宇佐美直治社長:
「亀裂ですねこれが。補強させていただく。ここら辺に(原爆の爆風で受けた)ガラスの破片があるんです。あー光った・・・」
被爆80年の今年、長崎大学は被爆の惨状を伝える資料を修復・保存するためエックス線検査を実施しました。資金はクラウドファンディングなどで募り、目標額800万円を大きく上回る、約2600万円の寄付が集まりました。
長崎大学附属図書館医学分館松田綾主査:
「医学的な貴重な資料というのと同時に原爆を生き抜いたふたつの側面を持っているという意味でとても貴重な資料」
撮影したレントゲン写真を見てみると・・・。
宇佐美修徳堂 宇佐美直治社長:
「おーすごい。いやーこれだけ入っていると思わなかった。(何が?)釘がですね。巻いてあるのは針金だと思う。(見られた感想はどうですか)これだけ手が込んでいるとは思いもしませんでした。釘を使っているなるほどなという感じ」
長崎大学附属図書館医学分館松田綾主査:
「あまりにもビックリしてこんなになっているんだと思って。本当だ釘ですね。今回のエックス線検査をすることで内部構造が明らかになってきちんと修復の過程が進んでいって無事にいつも日々いつか倒れるんじゃないかというドキドキがして毎日過ごしてきたしっかり修復することによって後世の人にも残していけるということを期待している。いずれは皆さんに修復が終わったらたくさんの人に見て頂きたいと思っています」
エックス線検査で、内部構造や状態を詳細に把握し修復に役立てたいとしています。検査は10日まで行われ、進捗は長崎大学のホームページで随時公開されます。