「客離れが怖くて、なかなか値上げに踏み切れない」という事業者が多い中、どのように価格転嫁を進めるべきか意見を聞くイベントが県庁で開かれました。
価格転嫁や価格交渉の方法、取引の適正化について知ってもらおうと開かれたシンポジウムには、九州経済産業局や公正取引委員会など、16の団体から200人以上が参加しました。
来年1月1日には、これまでの「下請法」が、「中小受託取引適正化法(取適法)」に改正される概要や、県内事業者が実際に価格転嫁や値上げを行った体験談などを紹介しました。
LTU 原田岳社長:
「1つは急な値上げをしない。急激に価格転嫁するとどこかが大赤字になってしまうので、業界を守るためにも急な値上げをしない」
OLIMAMA 桐原大和社長:
「商品のこだわり、特長を見える化、言語化する、魅力が伝わるメニューとして、そこに明記できないか」
例えば、700円で販売していた「角煮丼」を、「~12時間熟成煮込み~国産三元豚の飲む角煮丼」とメニュー名を変えて1080円で売るなど、“魅せ方”を変えた値上げの仕方が有効だということです。
県産業労働部 宮地智弘部長:
「(事業者が)物価高騰、最低賃金の引き上げなどがありながら、きちんと価格転嫁することが非常に大事だと思っていまして、経済の好循環につながらないと賃金も上がっていかないということで、ご理解を深めるシンポジウムになればと思います」
県の調査では2023年11月時点で、価格交渉を行った県内の事業者は55.2%と半数を超えた一方で、コストが上昇したにも関わらず、発注の減少などを恐れて交渉しなかった企業が36.5%にのぼりました。
県は、「まずは価格交渉を申し入れ、話し合いを始めることが重要」と呼びかけています。