全国で相次ぐ「ニセ電話」。その電話が、なんと長崎県警の”警察官の妻”にかかってきました。女性は冷静に応対し、音声を録音、最後に自分が警察官の妻だと明かして”撃退”しました。
犯人:
「ここ3年以内にご自身の身分証やキャッシュカードなど個人情報にまつわる物をなくしたり盗まれたり、そういったことはありますか?」
女性:
「ないですね」
10月14日、時津町に住む40代の女性の携帯電話に、「警視庁捜査二課のオオタニ」を名乗る男から電話がありました。男は「福井県警が捜査している特殊詐欺事件の家宅捜索で、あなた名義のキャッシュカードが見つかった」「あなたも資金洗浄に関与した疑いがある」などと話し、銀行口座や年齢を尋ねた上で、こう要求しました。
犯人:
「●●さんは着替えと身分証を持って福井県警まで足を運んでもらいたいのがまず1点。よろしいでしょうか?」
女性:
「身分証を持って福井県警まで行く?」
犯人:
「のがまず1点、お願いしたいことです。その際には、最低20日間の拘留を設置する場合がありますが」
女性:
「はい」
犯人:
「本日こちらの対応は可能ですか?」
遠く離れた警察署への出頭を求めるのは、犯人グループの常とう手段。相手が「行けない」と言うと、ビデオ電話に誘導し、ニセの警察手帳などを見せて信用させるのが狙いです。
しかし、ここで、犯人にとって、”想定外”の展開が…。
女性:
「もう1回、お名前教えてもらっていいです?ごめんなさい。あなたのお名前」
犯人:
「警視庁捜査二課のオオタニです」
女性:
「捜査二課のオオタニさん。分かりました。あの」
犯人:
「はい」
女性:
「主人が警察なんですよ」
犯人:
「はいはい」
実はこの女性、長崎県警の警察署に勤務する警察官の妻でした。
女性:
「なので、ちょっと主人に相談してから決めますね。なんで警視庁捜査二課のオオタニさんにこちらから電話差し上げて、福井県までわざわざ出向く必要があるのかを確認して、それからでいいですか?主人の方から確認させますので」
犯人:
「ご主人に頼ってみてください」
女性:
「いいですね」
犯人:
「いいですよ」
その言葉を最後に、男は電話を切ました。県警は女性からこの音声データの提供を受け、今後、ホームページや公式SNSなどで公開し、被害防止を呼びかける予定です。
県警によりますと、今年1月から9月末までに警察官を名乗るニセ電話詐欺は59件。被害総額は約2億5000万円にのぼっています。
警察は、事件について電話で話すことはないとして、引き続き注意を呼び掛けています。