県警の男性警察官が上司のパワハラや長時間労働が原因で自殺したとして遺族が県に損害賠償などを求めた裁判の控訴審が福岡高裁で始まりました。
訴えを起こしているのは、2020年10月に自殺した当時41歳の男性警部補の妻ら遺族3人です。
控訴状などによりますと、男性警部補は佐世保署に配属された2020年から半年間、上司の課長から人格を否定するような叱責を受けたほか、署長と課長の指示で月200時間前後の時間外労働や休日労働を強いられたとしています。
長崎地裁は今年6月、県に対し、「県警に安全配慮義務違反があった」として原告が求めていた損害賠償のほぼ満額、1億3500万円余りの支払いを命じました。一方で、「パワハラ」や原告側が主張していた上司の重大な過失について具体的な言及はありませんでした。控訴審では、上司2人の重過失の認定などを求めています。
長崎地裁の判決を重く受け止めた県は、賠償金の支払いと謝罪の意向を示していますが、本件が速やかに終結することを希望するとして控訴棄却を求めています。
原告で、男性警部補の妻はNCCの取材に対し、「被告には上司の2人に求償してほしい。長時間労働やパワハラのない社会になることを願っている」などと話しています。