県警の男性警察官が上司のパワハラや時間外労働が原因で自殺したとして、遺族が県に損害賠償などを求めた裁判で、長崎地裁は長崎県に1億3500万円余りの損害賠償の支払いを命じました。
裁判は2020年10月に自殺した当時41歳の男性警部補の妻ら遺族3人が、県に損害賠償や残業代などを求めていたものです。
判決などによりますと、男性警部補は2020年に佐世保署に配属されたあと、半年間、上司の課長から人格を否定するような叱責を受けたほか、署長と課長の指示で過労死ラインの2倍から3倍にあたる月200時間以上の時間外労働や休日労働を強いられたとしています。
10日の判決で長崎地裁は県に対し、「県警に安全配慮義務違反があった」として原告が求めていた損害賠償のほぼ満額、1億3500万円余りの支払いを命じました。
その一方で「パワハラ」や原告側が主張していた、署長と課長の重大な過失について具体的な言及はありませんでした。
男性警部補の妻:
「(署長と課長への)求償につながる重過失を認めると裁判所が言ってくれるとすごく強力な後押しになるので、言ってほしかったんですけど、重過失どころか長時間労働・パワハラについて一切触れていない内容なので」
中川拓弁護士:
「(判決文には)自死につき安全配慮義務違反があることは争いがないという書き方をしている。本当にこの一行だけ我々が求めてた部分に関しては」
県警の監察課は「判決の内容を確認し、今後の対応を検討していく」とコメントを発表しました。