世界各国の医師や医学生らが核戦争の防止を目指し、核兵器廃絶に向けて話し合う国際会議が、長崎市で始まりました。
長崎市で初開催の「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会」。アメリカやロシアなど核保有7カ国を含む35の国と地域の医師や医学生ら約330人が「核なき世界」を目指し、医学的な知見から意見を交わします。
開会のスピーチでは、ノーベル平和賞を受賞した4団体の代表者が登壇。去年、受賞した日本被団協の田中熙巳代表委員(93)は「核兵器は極めて非人道的な殺戮兵器」「人類とは共存できない」と訴えました。
日本被団協 田中熙巳代表委員:
「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、『核兵器は一発たりとも持ってはいけない』というのが原爆被害者の心からの願いであります。1万2000発という核兵器が今この地球上に存在するわけですね。しかも、3000発以上の核兵器が直ちに発射できるという状態にあるわけです。
たった2発で被害を受けた私どもから考えれば、この本日の情勢は非常に狂気的だというふうに思います。人類が核兵器で自滅することのないように、そして核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう」
また、2017年にノーベル平和賞を受賞したICAN核兵器廃絶国際キャンペーンのメリッサ・パーク事務局長は、核保有国が主張する核抑止論を「危険なうそだ」と強調しました。
ICAN メリッサ・パーク事務局長:
「核保有を盾に強要・威嚇・脅迫などを行っている核保有国は、『核兵器は抑止力によって世界の安全を守っている』と主張していますが、それは醜いもので核兵器で被害を受けた全ての人やその治療に当たる医師たち、そして発生した数多くの核事故を研究者たちが示すように、異様で危険なうそに過ぎません。
私たちは『対立』ではなく『対話』を、『軍事力強化』ではなく『外交』を、『核拡散』ではなく『核廃絶』を選択する力を持っています。人間として、地球や互いを尊重する新しい未来を築く力が私たちにはあるのです」
会議は4日(土)までの3日間行われ、最終日には核なき世界と恒久平和に向けた「長崎宣言」を採択する予定です。