大阪・関西万博の開催に合わせ、長崎ゆかりのグラフィックデサイナーの作品などを紹介する「日本万博全史」が出版されました。
高層の建物を遠くに眺める古代風の甲冑姿の人物や、赤い背景に白い富士山と金色のトビを配したポスター。いずれも1940年(昭和15年)、東京と横浜で開かれる予定だった「紀元2600年記念万博」の公募ポスターで入賞した作品です。
作者は、長崎市出身のグラフィックデザイナー・中山文孝(1888~1969)。観光ポスターや包装紙などのデザインを手がけ、日本のグラフィックデザイン界の先駆けとされる人物です。
著者のノンフィクション作家・夫馬信一さん(66)が注目したのは、入選5作品のうち4作が九州、さらに3作が長崎の作家によるものだったこと。夫馬さんは、九州の商業美術界のリーダー的存在だった中山が、地方のデザイナーが全国で評価されていないことを憂い、存在感を示そうと働きかけた結果ではないかと話します。
ノンフィクション作家・夫馬信一さん:
「九州のデザイナー、特に長崎のデザイナーさんを集めてその実力を世に知らしめようとした仕掛け人だった可能性が高い。長崎が商業デザインの中で中心的な役割を果たすんだというプライドは非常にお持ちだったんだと思います」
350点を超える資料で万博史をたどる「日本万博全史」はメトロ書店長崎本店などで販売されています。