長崎に投下された原爆で妻と子ども3人を亡くした俳人・松尾あつゆき(1904-1983)の俳句を版画や彫刻で表現した長崎市の版画家・小﨑侃さん(83)の450回目の記念個展が浜屋百貨店で開かれています。
小﨑侃さん(83):
「<なにもかもなくした手に四まいの爆死証明>『四まい』の紙切れ一枚で終わったような、何か虚しさを表現しているような。<炎天、妻に火をつけて水のむ>何か淡々としているこの俳句の中で、どういう気持かなあと思うんですよね。何かやっぱり松尾先生の一番の根本の何かこうね。怖さとかこういう闘いというか沈黙があるんじゃないかと思ってですね。<あわれ7ヶ月のいのちの、はなびらのような骨かな>本当『7ヶ月』って小さな命っていうものを失ってしまったということ。大きく成長したらこう華やかに踊ったりもね。しゃべったりできるんじゃないかという、そういう思いと。時代に合った明るい世界の子どもが成長したんじゃないかなと思ってですね。そういう表現をしてみたんですけど」
その生と死の世界を、涙も涸れてしまったのちに魂からしみ出る涙を、慟哭を、嘆きを、合掌を、病床の松尾あつゆきさんと交わした契りを胸に、手を合わせる地蔵に託し、悲嘆の極みを生きる苦悩と、原爆の非人道性、不条理などを表現しました。
画業60年、小﨑侃さんの被爆80年祈念・個展450回記念展◆-平和を祈る-松尾あつゆき「原爆句抄」より◆新作彫刻展は、浜屋百貨店8階美術ギャラリーで25日(月)までです。