平和の願いを風船に乗せて夜空へ。花火も上がりました。被爆者の体験を語り継ぐイベントが長崎市で行われました。
平和町商店街振興組合が主催した長崎市の被爆80周年記念事業「世界をつなぐ祈りの風船」。山里観光市場で開かれ、山里小の児童や山里中、南山高校の生徒、長崎大学の留学生など約40人が参加しました。
被爆体験講話では、去年の平和祈念式典で被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた三瀬清一朗さん(90)が原爆が投下された瞬間の光景などを話しました。
被爆者・三瀬清一朗さん(90):
「立ち上がろうとした瞬間にピカッと来たんです。ものすごい爆風が私の家の中を一気にグーッとものすごい音ですよ。うなり声みたいで私の家の中を一気にブワーッと吹き抜けていったんです。私の母が『全部(全員)助かったぞ』誰一人としてけがしてなかった』と言って僕たちは、『母ちゃん死なんでよかったね』ってワーって泣いた記憶があるんです。命があったんですね。だから僕はきょう皆さんたちにお話ができるんです。僕は今ね、平和という花の種を一粒ずつ皆さんたちに今お渡ししているんです。話を通じて、この話の種、平和の種をね、皆さんたちにまいていただいて水をやって育てていただいて、そして皆さんたちの周囲に平和の花を咲かせてもらえればね、僕はいいんじゃないかと思います」
山里小学校5年生:
「『ようやくゆっくり寝られる』という、その『ようやく』という言葉が、今では普通だけど、その戦争当時では、その『ようやく』は全然できなかったことを改めて感じました」
長崎大学2年生:
「『どんな気持ちで空襲警報が鳴りやむまで自分の心の中で耐えているんだろう』とか、『次おいしいご飯にありつけるのはいつなんだろう』『この飢えの感覚といつまで戦わなければいけないんだろう』とか、言葉にならないような葛藤とかを生で感じることができて、非常にきょう(講話を)お聞きできてよかったと思いました」
午後8時過ぎ、平和町の天主公園で開かれた夏祭りに集まった子どもたちは、平和への思いを胸に、「祈りの風船」百個を夜空に浮かべました。
子ども:
「世界がもっともっと平和になってほしい。戦争もなくて、『戦争』という言葉がなくなってほしい」
最後は世界平和を祈る約70発の花火が打ち上げられました。
平和町商店街振興組合・城尾昭寛理事長:
「我々も爆心地に住む人間として、復興に尽力された先人たちに思いを馳せて、この気持ちを次の時代につなげていかないといけないという思いでこういう取り組みをやっております」
平和町商店街振興組合によりますと、平和町の夏祭りで打ち上げ花火を上げるのは約40年ぶりということです。