20日(日)投開票された参議院選挙。自民・公明の与党は過半数割れの歴史的大敗を喫した一方、長崎選挙区では自民党の現職、古賀友一郎さん(57)が3選を果たしました。
当選から一夜明け、長崎市の諏訪神社に参拝に訪れた自民党の現職・古賀友一郎さん(57)。過去最多と並ぶ6人が立候補した参院選長崎選挙区を制しました。しかし、所属する自民党は歴史的大敗。事務所で朝刊に目を通し、当選の喜びもさながら、難局が待ち受ける3期目に向け、気を引き締めました。
自民・現 古賀友一郎さん(57):
「与党過半数割れという状況を踏まえて、これから政局がどういうふうに動いていくかということを非常に心配しますけど、いずれにしても今ここで歩みを止めるわけにはいきませんので、この逆風の中でこの議席を頂いたことの重みをかみしめたいと思います」
20日(日)午後8時。投票締め切りと同時にANN系列は古賀さんの当選を報じました。約20分後、陣営に姿を現し、祝福を受けました。次点の国民民主党の新人、深堀浩さん(59)に5万9838票差。全国的な党の大敗とは裏腹に支持層の健在ぶりが示されました。
【当選】自民・現 古賀友一郎(57)24万6585票
国民・新 深堀 浩 (59)18万6747票
参政・新 黒石 隆太(33) 9万7646票
共産・新 筒井 涼介(31) 3万1687票
諸派・新 高谷喜久雄(63) 8205票
諸派・新 神谷幸太郎(49) 6076票
自民・現 古賀友一郎さん(57):
「私自身、今回3期目、大変大きな転換期、正念場を迎える3期目だと考えております。しっかり務めを果たしていきたいと考えております」
古賀さんは、Uターン者の奨学金返済負担の軽減や持続可能な社会の実現のため水素エネルギーの生産拠点を長崎につくることによる経済成長などを公約に掲げ、「物価高を上回る賃上げを」と訴えてきました。一方で出馬を巡っては、自民党県議との間で公認争いが勃発。「一枚岩」になれるかが課題でしたが、衆院長崎1区から3区に県選出の国会議員をそれぞれ責任者として置き、盤石の組織戦を展開しました。
自民・現 古賀友一郎さん(57):
「私自身は将来ビジョンを訴えたことをしっかり有権者の方々に受け止めていただいたと理解しておりますが、今回の自民党の総力を挙げて戦っていただいた、そうした組織戦というものも大きく功を奏したものと思っております」
一方、次点の深堀浩さん(59)。減税やガソリン代の値下げ、「年収の壁」の引き上げによる手取りを増やす政策を訴えましたが及びませんでした。
国民・新 深堀浩さん(59):
「残念ながら、結果が伴いませんでしたが、全て私の力不足だと思っています」
報道各社の終盤の情勢調査で猛追が報じられる中、“手応え”を感じていたと話す深堀さん。しかし、知名度や組織力で古賀さんに及ばず、「現職の壁」は越えられませんでした。
去年の衆院選で国民民主党が圧勝した「牙城」の長崎市では、古賀さんの得票を1万票以上上回った一方で、課題としていた県北では、佐世保市で古賀さんに1万票以上の差をつけられ、平戸や松浦では古賀さんの得票の半数未満という結果でした。また、五島市、対馬市、壱岐市などの離島でも古賀さんの得票の半数未満でした。
国民・新 深堀浩さん(59):
「もちろん当初から長崎市外での知名度不足は自分の一番のポイントだっと思っていたので、大票田である佐世保とか、そういった所を中心に活動の重きを置いてきたわけですが、もしかしたら長崎での活動が足らなかったのかもしれない」
報道陣の取材に、このように話す場面も。
国民・新 深堀浩さん(59):
「参政党の勢いというのはもちろん感じてましたね」
今回の参院選で14議席を確保し、“台風の目”となった参政党。野党が乱立した長崎選挙区では、新人の黒石隆太さん(33)が9万7千票余りを獲得し、野党票が分散しました。
国民・新 深堀浩さん(59):
「それは民意なので流れたというよりもそこがこの人に投票したいという県民の投票行動ですから流れたとかそういうことはないと私は思いますけどね」
投票率は55.78%で、2022年の前回を7.06ポイント上回りました。3連休中日の投票となり、投票率の低下が懸念されましたが、期日前投票率は28.34%で前回を7.62ポイント上回ったほか、争点となった物価高対策に市民の関心が高かったことが伺えます。給付金を訴えた古賀さんに対し、ほかの候補は、消費減税や消費税の廃止を訴えました。
ANNが行った出口調査では、「物価高対策として現金給付と消費減税のどちらがいいか」を聞きいたところ、「現金給付」と答えた人は70%が古賀さんに投票していました。「消費減税」と答えた人は約37%が深堀さんに投票した一方で、28%は給付金政策を掲げる古賀さんに投票していました。
50代男性(長崎市):
「街も変わっていってるので、政治を担う党も新しく変わった方がいいと思いますし、若者たちが長崎に長くいられるような街づくりをしていただきたいと思います」
70代女性(時津町):
「若い人がもっと希望が持てる国にしてほしいなと思います」
30代男性(大村市):
「非常に物価高とか難しい時代ではあると思うんですけど、より良く、子どもたちの未来とかそういったところに目を向けてもらって、少しでも長崎が良くなるような政治にしてもらえればいいかなと思います」