原爆で鐘を失ったままの長崎市の浦上天主堂にアメリカのカトリック信徒らから寄贈した新しい鐘の祝福式が行われました。
カトリック長崎大司教区 中村倫明大司教:
「80年前の原子爆弾によって破壊された旧浦上天主堂の一つの鐘が、アメリカのカトリックの方々によって復元され、寄贈されました。きょう新しい鐘の祝福の日を迎えることができたことを神に感謝いたしましょう」
祝福式が行われたのは長崎市本尾町の浦上天主堂です。浦上のカトリック信徒や教会関係者ら約120人が参列し、「希望の聖カテリの鐘」を祝福しました。
この鐘を寄贈するため、1年以上アメリカ各地で原爆に関する講演を行い、約620人のカトリック信徒から12万5000ドル、日本円で約1858万円の寄付を集めたアメリカ・ウィリアムズ大学のジェームズ・ノーラン・ジュニア教授(63)も祝福式に参列しました。
また、ノーラン教授に鐘の寄贈を提案した被爆2世で、カトリック信徒の森内浩二郎さん(72)も参列しました。2人は設置される前の鐘を共に鳴らし、その音色に祈りを込めました。
ウィリアムズ大学 ジェームズ・ノーラン・ジュニア教授:
「この“希望のカテリの鐘”が平和と希望、そして日米のカトリック信徒の連帯を深めるなど、多くの実を結ぶことを願い、祈ります」
被爆2世 森内浩二郎さん:
「8月9日に(鐘が)鳴ります。一緒に鳴ります。共鳴します。この共鳴こそが和解です。アメリカのカトリック信徒たちと長崎、浦上の信徒たちとの和解がそこで成立すると思います」
祝福式を終えたあと、「希望の聖カテリの鐘」は80年間、空のままだった左側の鐘楼の中に収められました。
日米の絆を結ぶ二つの鐘は、原爆が炸裂した8月9日午前11時2分に戦後80年の時を超え、二つそろって鳴り響きます。