去年9月、西彼・長与町で46歳の息子が75歳の母親を刺し殺し、「今、親を殺しました」と自ら110番通報。殺人の罪に問われた男の裁判員裁判が長崎地裁で始まりました。
起訴状などによりますと、西彼・長与町の無職 小西博己被告(46)は、去年9月3日の午後7時ごろ、自宅で同居する当時75歳の母・幸子さんの胸や背中などを刃の長さ約18.4センチの包丁で15回突き刺し、呼吸不全で死亡させ、殺害した罪に問われています。
28日の初公判で小西被告は「間違いないです」と起訴内容を認めました。
冒頭陳述で検察は、犯行動機について「被告は15年以上無職で自宅に引きこもり、30歳ごろから家の中を念入りに掃除するようになった」「遅くとも2022年ごろまでには、毎日、数時間かけて他人が触った場所を掃除したり、食品などを拭き上げた上でラップで巻くようになった」「両親が病院の受診を求めても被告は応じず、被告が大量の水や石けんなどを使うため、多額の水道代などがかかるようになり、両親が生活状況について繰り返し改善を求めるうち、両親に対し、漠然とした殺意を抱いた」と主張。
また「事件当日は午後6時40分ごろ、帰宅した母の幸子さんが台所で洗い物をした際、被告が母親に手を洗うよう求めたところ、母親が言い返してきたことに腹を立て、殺意を持って台所にあった包丁で15カ所刺した」と主張しました。
幸子さんの致命傷は背中の2カ所の刺し傷で、深さはそれぞれ約16センチと22センチ、両方の肺や肝臓、腎臓などを損傷していたということです。
被告は母親を包丁で刺した直後、「今、親を殺しました」と110番通報し、自首しました。通報の際、警察に対し、「文句ばかり言われていた」「ずっと我慢したが、限界で刺した」「俺の人生終わった」など話したとしています。
弁護側は「被告は強迫症=いわゆる潔癖症と、人間関係をうまく構築・修復できない回避性パーソナリティ症を患っている。犯行は衝動的で自首もしている」などと主張しました。
裁判は29日も続き、証人尋問などが行われます。