長崎市出身でサッカー日本代表の監督を務める森保一さん(56)が「サッカーと平和」をテーマに講演し、若者たちに向けてメッセージを送りました。
国内外の高校生や大学生らが長崎に集まり、平和について考える国際フォーラム「長崎ピースプレナーフォーラム」のトークセッションに登壇した森保一監督。高校まで長崎で過ごし、もう一つの被爆地・広島でも選手や指導者として活躍した森保監督は、「競技人口が多いサッカーを『共通言語』として、価値観の違う世界の人たちともつながることが出来る」と語りました。
森保一監督:
「まず全大陸の中で、国連の加盟国よりFIFAの方が多い。フットボールで国と国をつなげられる。人と人をつなげられる。文化と文化をつなげられる。違う価値観をつなげられるということはW杯に出て強く感じます」
森保監督は、父親から3歳の頃、爆心地から約10キロから12キロの旧深堀村で原爆に遭った体験を聞き、核兵器の恐ろしさを感じたそうです。
森保一監督:
「人を傷つけるであったり、人の命を奪い去るようなことがないように、そういう兵器が使われないようにということは、父の体験からも私自身感じたところであります」
森保監督は、「大人がつくりあげた生活環境の中で何となく生きていくのではなく、主体的に行動して新しい世界をつくっていってほしい」と話しました。
また、国の内外の若者たちが登壇し、それぞれが現在取り組んでいる平和活動や、被爆体験について、英語でプレゼンテーションしました。
長崎大学医学部2年・バンダービーン新愛さん:
「私はここ長崎で生まれ育った被爆3世です。祖父母から被爆体験を聞いて育ちました。私はドイツと長崎にルーツがあります。世界大戦が始まった国・ドイツ、そして同じく終わりを迎えるきっかけとなった都市、長崎です。そんな私は平和に向けて何か行動を起こす責任があるといつも感じています。世界を広く見てみるとこんなふうにして活動している人がいっぱいいるんだということを知って圧倒されたとともに、力強さ、勇気をもらった気がします」
フォーラムには、2日間で15カ国から約400人が来場しました。
18日午後6時過ぎから開かれたクロージングセレモニー。参加者はフォーラムの期間中に作った折り鶴に平和への祈りを込めたメッセージを書き込みました。
ロシア出身・ドミートリエワ・アナスタシアさん:
「より良い世界を作るために手を取り合って頑張りましょう。今後勇気を出して、自国や世界のためになることをしていきたい」
OneYoungWorld長崎協議会事務局・林田光弘プロデューサー:
「対峙するのではなく、どうやったら意見の違うこの人たちと共に生きることができるのかを必死に考えるということをこのフォーラムでやったわけなので世界の人たちがみんなできるようになるためにはどうするのかをそれを考えていくというのが今回のフォーラムの醍醐味だったと思いますし、そういう点では大成功だったのではと思います」
主催した「ワン・ヤング・ワールド長崎協議会」は、来年も長崎でピースプレナーフォーラムを開く予定です。