国が定める被爆地域の外で原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」について厚生労働省と長崎市、県による3者協議が始まる見通しになったことを受け、被爆体験者らが早期解決を国に働きかけるよう市や県に求めました。
被爆体験者でつくる団体は、9日の平和祈念式典のあと、岸田総理と初めて面会し、被爆者と認定するよう求めました。岸田総理はその場で直接、武見厚労大臣に「合理的に課題を解決できるよう具体策の調整」を指示しました。
これを受けて厚労省は、長崎市や長崎県と協議を始める方向で調整を進めています。協議が始まる見通しになったことを受け、被爆体験者や支援者は国に対して早期解決を強く働きかけるよう長崎市や県に要望しました。
被爆体験者・第二次全国被爆体験者協議会・岩永千代子会長(88):
「密室で国と県と市が決定していくのではなくて、私たちが当事者ですから、私たちを蚊帳の外に置かないで、国には1回でいいから、1回でいいから(話を)聞きに来て私はこういうことで要求しているんですということを素直に申し上げたい」
被爆体験者らが協議の傍聴を求めたのに対して、長崎市や県の担当者は日時も含めて「どういう形でやるか決まっていない」「要望は伝える」と応えました。
一方、被爆体験者ら44人が長崎市や県を相手取って、被爆者健康手帳の交付を求めている裁判は、9月9日に長崎地裁で判決が出ます。原告団長の岩永さんは「原告側が勝訴したら控訴しないでほしい」と求めましたが、市の担当者は「コメントを控えたい」「手帳交付は国の事業で権限がない」と応えました。