医学の発展に期待が膨らみます。長崎大学は民間企業と共同で開発を進めている生成人工知能・AIを利用した「模擬患者アバター」の研究成果を発表しました。
長崎大学生命医科学域医療人材連携教育センター・川尻真也准教授:
「率直に申し上げると期待以上かと思います」
「模擬患者アバター」は、長崎大学医学部と情報データ科学部、情報ITなどを手がける長崎市の「システック井上」が共同で、去年3月に開発を始めました。医学生の問診の練習のため、患者役を演じる人の代わりになるもので、患者とのコミュニケーション能力や専門知識に基づいた問題解決力の向上、模擬患者の引き受け手不足解消などを目指します。
今回、開発した試用版(ベータ版)は、AIが「肺炎」「リウマチ」「十二指腸潰瘍」の3つの症例のシナリオを学習し、医学生とやり取りができます。
長崎大学生命医科学域医療人材連携教育センター・川尻真也准教授:
「肺炎の患者さんらしく例えばせきをするとか、会話する時に口を動かして話するとか、自然なアバターの動きをもって会話をしてくれるので、実際の模擬患者を相手とした医療面接(問診)に近い形での学習ができると考えています」
今回、AIに学習させるためのデータの生成も自動化しました。
長崎大学情報データ科学部・小林透教授:
「AIを学習させるためにはデータを作らないといけないで、そのデータを作るのがすごく大変で、今回の特長は学習させるためのデータをAIが自動で作ってくれる。ここは日本初だと思いますし、私は世界初だと思っています。日本も人口が減ってきたりしていますので、特に専門的な知識を持った方もベテランの方も少なくなってきていますから、そういったところを補完するという意味でAIをこれから使っていくというのはどうしても必要かと思っています」
長崎大学などは、新年度、医学生の評価を基に更なる改良を加え、最終製品版を来年3月までに完成させる予定です。