長崎大学は、医学生の問診の練習相手に「生成AI」を使った「模擬患者アバター」の共同研究を始めると発表しました。
医学生役:
「こんにちは、本日担当する医師の佐藤です。確認のためにお名前フルネームと生年月日を教えてください」
模擬患者アバター:
「田中太郎です。生年月日は1997年8月6日です」
このアニメーションは長崎大学情報データ科学部と、長崎大学病院、長崎市のシステム開発会社「システック井上」が開発を進める「模擬患者アバター」です。
「模擬患者」は、医学生が問診などの「医療面接」を練習する相手のことです。「模擬患者」にも医療の専門知識が必要で、医療教育機関では模擬患者の養成や確保が課題となっていました。
今回の研究では、アバターに医師の医療面接の経験や、国家試験の問題を基にしたシナリオを「生成AI」で学習させることで、医学生は人間と同じようにアバターと会話でき、様々な疾患を想定した問診の練習が可能になります。
医学生役:「本日はどうされましたか?」
模擬患者アバター:
「痰と咳が続いているので、病院に来ました。きのう再診ではっきりしなかったため、こちらに紹介されました」
医学生はアバターとの会話を通して患者が抱える病気の解明や、講義による知識の習得だけでは身に付けることが難しい患者とのコミュニケーション能力の向上を目指します。
長崎大学・川尻真也准教授:
「こういった模擬患者を用いることで、安心安全ということで、患者さんに対するリスクがなく、繰り返し実施できるということ、そしてどんな時でも実施できるということで非常に重要な教育のツールとなっています」
長崎大学・小林透教授:
「新しいビジネスを長崎から日本に限らず全世界に発信していけるチャンスじゃないかなと思っています」
「システック井上」は、2年間の研究で「模擬患者アバター」の製品化を目指すとしています。