7日に開幕する長崎くんち。4日はその関連行事、本番前に演し物の稽古の仕上がりを町の人などに披露する人数揃いが行われました。
7つの踊町は長く厳しい稽古を積んできました。
コロナ禍を挟んで実に10年ぶりの奉納に臨みます。
一番町・興善町の「本踊・石橋」。
桜町小学校では、児童たちを前に踊りを披露しました。何と言っても、見所は紅白2体の獅子による勇壮な毛振り。獅子の勇壮さと対比して可憐に舞うのは、4人の大人の踊子からなる「蝶の精」と4歳から10歳の子ども踊子からなる9人の「楽の精」です。会場には子どもたちの大きな「ショモーヤレ」が響きました。大きな手拍子に包まれながら所望踊りを披露しました。
桜町小5年・村田華萌さん:
「迫力があってすごかった」
桜町小5年・津上心祐さん:
「息が合っていて良いと思った」
赤獅子・藤間織貴祥さん:
「皆さんに喜んでもらえて神様にも喜んでもらえる奉納をしたい」
白獅子・藤間織月さん:
「緊張はしたけれども意外と今までの練習の成果は(発揮)できたのかなと思っているので、あと少し本番まで調整しながら3日間乗り切りたい」
八幡町の町名の由来となった八幡神社は江戸時代に山伏が創建。鳩は「八幡様」の使いとされています。
八幡町の演し物は3つです。「山伏道中」に、華麗で勇壮な「剣舞」。
八幡様は弓の名人とされていて、剣舞の演目の1つ、「扇の的」は、源平合戦で那須与一が平家方の船の上の扇を、弓で射抜く場面を表現しています。美しく、勇ましく…そして!荒々しさの中に見せる一瞬の静寂。「静」と「動」が魅力の「弓矢八幡祝い船」は、京都から山伏が諏訪神社に奉祷文を納めようと、侍大将に守られながら、荒波を越えて長崎に入港する物語です。船に取り付けられた箱から白鳩が飛び立つ場面は見所の1つ。最後には、船を5回転半、力強く回す「八幡返し」が控えます。
剣舞・小2・鶴田明莉さん(7):
「がんばりました。かっこいい剣舞を見せたいです」
長采・小﨑亮平さん(43):
「私も含めて少し緊張感があって硬いかなと思ったので、今回1回やれたので、本番の時は緊張がほぐれていい船回しになると思っております。皆さんがあっと驚くような豪快な船回しを見せて、いい奉納にしたいと思っております」
最年少根・曳城谷一心さん(17):
「常に本気でやっているので、結構きついです。みんなにすごいと思ってもらえるような気合が入った八幡町の荒々しい船回しや凛々しい剣舞を見てほしい」
「本踊」を奉納する三番町・万才町。旧福岡銀行の駐車場では、季節を追って、くんちまでの物語を描いた奉納踊「長唄・祭祝万歳町」を披露しました。
今年の子ども踊子は10人のうち8人が男の子です。テーマは「みんなで踊ろう万才町」。子どもたちの保護者や踊りを手伝う人など万才町のくんちに関わる全ての人が踊りに参加します。
最年少の踊子・綾部美希さん:
(Q.稽古の仕上がりは?)
「(現時点では)80点で残りの20点は本番楽しく踊ろうと思っている」
新地橋広場では、四番町・西濵町の根曳きたちが「龍船」を豪快に曳き回し、詰めかけた多くの人を魅了しました。
全長約11メートル、重さは3.8トン。くんちの曳きものの中で最大級の「龍船」。根曳たちは本番の着物に袖を通し、気合十分です。根曳きたちが曳き回しの途中に見せるこのポーズは、龍船が長崎にやって来るまでの「荒波」を表現します。龍が口から白い煙を吐きながらの船回しも披露!ファンや関係者を盛り上げました。
見物客:
「親戚の子が太鼓で出ていたので涙が出そうなくらい感動しました。頑張ってほしいですね。だって10年ぶりだからね」
見物客:
「こんな近くで見たことがなかったので、初めて近くで見られて、すごく長崎を感じました」
(Q.本番はどのような奉納を見たい?)
「もっと迫力のある奉納していただきたい」
西濵町の根曳21人は、本番当日も一丸となって、福を呼ぶ「ヤーハー」の掛け声と共に最高の奉納を目指します。
五番町、麹屋町の演し物は「川船」です。
演技の前、傘鉾を先頭に町内を練り歩きました。
22人の根曳衆は、鯉を染め抜いた水色の衣装を身にまとい、引き締まった表情で演技に臨みました。麹屋町の「川船」の魅力は、根曳衆が息を合わせ挑む船回し。それを支えるのが、船に乗り込み、大きな声を出し、鉦と太鼓で根曳衆を奮い立たせる囃子方です。囃子方は、小学4年生から6年生までの14人。全員女の子で、麹屋町史上初の試みです。
大太鼓・石橋歩美さん(小6):
「本番成功できるように考えてしました。囃子の音がそろっているところとか大きい音を見せたいです」
網打船頭を務めるのは、小学5年生の久米緩征さん(小5)。見事!!!大漁です!
網打船頭・久米緩征さん(10):
「網は丸く開いて良かった」
(Q.本番ではどういう演技を見せる?)
「一網打尽で頑張りたいです」
観客:
「お囃子聞くだけでワクワクするけど、それが迫ってきて良かった。すごい」
観客:
「皆、真剣に頑張っているのがグッときました」
根曳頭・大久保健一さん(45):
「やっぱり根曳の顔ですね。顔で一生懸命やっているのをきつい船なんで、そこを迫力として出せればな」
銀屋町の鯱太鼓は、中国の故事、「蓬莱鯱伝説」を描く踊りです。太鼓の音で目覚めた鯱が荒波に翻弄されながらも、力強く天に舞い上がり、龍になるさまを表現します。
観客:
「最高でした。元気が出ました。元気100倍」
諏訪小学校では、約420人の全校児童が見守る中、演技を披露しました。諏訪小学校の5年生の担任を務める本嶋陽一さん(52)は、今年初めて出演します。
担ぎ手・本嶋陽一さん(52):
「普段から上手に生きるよりも、下手でも、泥まみれになってでも必死にやることが大事と言ってるので、そのことをちょっとは見せられたかなと思って、そこは良かったかなと思ってます」
5年生・新ケ江壮太くん(10):
「ホーライコ、ホーライコ、ホーライコで持ち上げるところがかっこよかった」
5年生・國枝紗弥さん(11):
「私たちが先生を励ます会を前の日にやったので、それで自分たちもめっちゃ声を出したので、その声もダーッて全部出してほしいです」
前日の奉納踊でトリを務める五嶋町の「龍踊」。
五島町公園には多くの人が詰めかけました。今年の龍衆は、19歳から65歳の62人。
速く、高く、勢いのある龍を表現します。とぐろを巻いて隠れた珠を探す「ずぐら」。訪れた観客は固唾を飲んで見守ります。龍の鳴き声を表す「長ラッパ」と、龍尾の動きで龍のイライラを表現します。宝を招くとされる「チャーパア」の掛け声が龍を生き生きとさせます。会場は、龍踊を一目見ようと訪れた多くの観客の熱気に包まれました。
観客:
「最高でした。意気込みがすごい。素晴らしい。10年ぶり五嶋町龍踊、最高」
最年長の龍衆・古城佳三さん:
「やるしかないです。歳とかそういうの言ってられない。とにかく今までやってきたことを出来るだけ皆に迷惑をかけないように頑張ります」
五嶋町・井出和宏総監督:
「初めての(人数揃い)にしては最高だった。(本番まで)腹いっぱい頑張るだけです」