牧山貴光記者「午前8時過ぎの長崎市茂木町です。堤防に激しい波が打ち寄せています」
近くの港では電柱が根元から折れ曲がり道路をふさいでいました。港から歩いて5分ほどの茂木地域センター前ではバスの停留所の屋根が歩道に落下していました。
県内の最大瞬間風速は雲仙岳で38メートル。佐世保で29.2メートル。大村で28.3メートル。長崎市脇岬で24.3メートルなどを観測しています。
一方、佐世保市では、午前9時40分ごろ、四ヶ町商店街の入口に設置されていた看板が落下しました。警察や消防によりますと、50代の女性が落ちた看板を運ぼうとした際に風にあおられ頭から出血するけがをしたということです。佐世保市内の病院に救急搬送されましたが、意識はあり、軽傷です。
牛島ひかりアナウンサー:「長崎市では西九州新幹線などは始発から運転見合わせ、海の便は全便欠航しています。また路面電車や路線バスは終日運休しています。そして、商業施設などは臨時休館や休業しているところが多く、街は閑散としています」いつもは多くの人が行き交うJR長崎駅も人通りがほとんどありません。長崎街道かもめ市場とアミュプラザ長崎本館と新館は、西友やファミリーマートなど一部の店舗を除き、終日休館しました。浜町のアーケードでは浜屋百貨店をはじめ、臨時休業した店舗も多く、シャッター前に重りを置いたり、窓ガラスを養生テープで貼ったりと対策をとる店舗も見られました。
牛島ひかりアナウンサー:「午前8時を過ぎた長崎港です。先ほどから横殴りの雨と背中を押すような強い風が吹いています。また船はきのうから欠航が決まっていて、ロープで頑丈に固定されています」長崎発着の海の便は全航路・全便が欠航しました。諫早市では強風の影響で道路に葉っぱなどが散乱したり、木の枝が折れて歩道に倒れかかったりしていました。鈴木長崎市長:「市内全域を対象として警戒レベル4の避難指示を発令いたします。不要不急の外出は控えるなど暴風や大雨などへの警戒と命を守る行動を最優先に行っていただきますようよろしくお願いします」長崎市は午前11時に市内全域18万6459世帯、38万9194人を対象に警戒レベル4の「避難指示」を出しました。鈴木長崎市長:「現在市内109カ所の指定避難所を開設しておりまして、市民の皆様におかれましては避難所、避難経路の確認や備蓄品や非常用持ち出し品の準備をしていただくとともに、明るいうちに必要に応じて早めの行動をお願いいたします」
長崎市のほか島原市や雲仙市、長与町、時津町が危険な場所から全員避難を呼び掛ける「避難指示」を出しました。
また佐世保市や諫早市、大村市、南島原市、西海市、五島市、平戸市、壱岐市、松浦市、新上五島町、波佐見町、佐々町、川棚町、東彼杵町、小値賀町が警戒レベル3、危険な場所から高齢者などの避難を呼び掛ける高齢者等避難の情報を出し警戒を呼び掛けました。
台風10号の接近に伴い長崎市は市内115カ所に避難所を開設しています。長崎市千歳町の北公民館は午後5時現在で100世帯120人の地域住民が身を寄せました。長崎市を含む県内21の自治体が合わせて363カ所の避難所を開設し、午後6時現在で2574世帯3626人が避難しています。
停電も起きています。九州電力によりますと午前10時時点で諫早市で2630戸、平戸市で2330戸など最大11市3町で約1万2020戸が停電しました。順次復旧作業に当たり、午後5時現在は11市3町の約1万600戸で停電が続いています。九州電力は、切れたり垂れ下がったりした電線や折れた電柱は大変危険なため、絶対に触れず、最寄りの九州電力送配電に連絡してほしいとしています。
県災害警戒本部によりますと県内では午後4時現在、佐世保市四ヶ町商店街でけがをした女性を含む4人が台風が原因によるけがをしています。佐世保市卸本町では男性が外から車のドアを開けようとしたところ、ドアが強風にあおられて顔に当たり、けがをしました。諫早市では高齢女性が外を歩いていた際、風にあおられて転倒し、足にけがをしました。雲仙市でも外を歩いていた高齢男性が風にあおられて転倒し、頭にけがをしました。
また雲仙市小浜町富津の県道北野千々石線では午前11時半ごろ、付近住民から「土砂崩れで通行できない」と市に連絡がありました。道路脇の斜面が広範囲にわたって崩れ、現在も全面通行止めとなっています。けがをした人はいません。