大石知事の後援会が2022年の知事選期間中、自民党県議から286万円の借入金を政治資金収支報告書に記載していた問題について知事に詳細を質す県議会全員協議会が開かれました。
大石知事の後援会が江真奈美県議の後援会から借り入れた286万円について、知事は6月、県議会一般質問で「政治倫理上、問題がある」と指摘を受けました。これを受け知事は8月2日付で、後援会の政治資金収支報告書の「借入金」を「寄付」に、「借入金の返済」は「寄付金の返金」に訂正しました。
大石知事:
「286万円が入金された当時、その資金移動を認識しておらず、事後的にその資金移動を知って、県民の皆様に疑念を持たれかねない資金はお返しすべきと判断して返金したといったのが実態でございました。このような実際の経過に照らしますと、寄付及びその返金とする方がより実態に即しているというのが専門家のご意見でしたので、私はその助言に従って訂正をさせていただいた」
知事は、事実関係や自身の認識など詳細についてこれまで言及を避けていました。全員協議会では、この286万円が9つの医療法人からの「迂回献金」だったのではないかという疑惑についても質問が相次ぎました。
大石知事:
「医療法人から寄付を受けようといったような考えは、全くありませんでした。弁護士を通じて長崎県医師連盟に確認をいたしましたところ、医師連盟としては医療法人に対して自民党支部への寄付の協力を依頼したものであって、私の後援会に資金移動がなされることを意図したものではないとのことでございました。これを踏まえて迂回献金であるという批判は当たらないと考えております」
しかし、この9つの医療法人のうち複数の法人がNCCの取材に対し、「知事に対する寄付だった」と答えています。
自民党・前田哲也県議:
「これは誰が考え、誰が指示したのか、この問題が発生してから確認されなかったんですか?」
大石知事:
「どのような経緯で私の後援会に資金移動がなされたかについて、しっかり確認する必要があると考えておりました。そのため複数の選対本部の関係者に確認してみましたけれど、誰の判断で資金移動がなされたかを含め、正確な経緯の把握に至っておりません」
全員協議会の後に開かれた議会運営委員会では、「疑念が払しょくされたとは言い難い」「全容解明にはなっていない」「説明責任を果たしていない」などの意見が出ました。
県民会議・小林克敏県議:
「答弁の価値あるものが少ないですよ。真相究明を議会を挙げてやらなくてはいけない」
今後、会派ごとに知事に求める対応について協議し、9月の議会運営委員会で話し合います。
大石知事:
「十分に理解をしていただけたかということについては、もちろん議論の余地はあると思いますけど、私自身としては、しっかりと検討結果を整理しまして説明をさせていただいたというふうに考えています」
一方、知事からの返金を受けた江県議は。
江真奈美県議:
「医師会を通じていただいている献金ですので、医師会には私から、もし返金のご希望があれば、それは真摯に対応させていただきますということを申し伝えております」
寄付に修正した286万円をめぐっては、知事の選挙運動費用収支報告書に記載していないとして、公職選挙法違反の容疑で元長崎地検次席検事の郷原信郎弁護士(69)らが、5日付で長崎地検に告発状を提出したと発表しました。