大石知事が後援会の政治資金収支報告書に2000万円の架空の貸付を計上し、655万円余りを不正に返済させていたとして後援会の元関係者が、知事を詐欺または業務上横領の疑いで長崎地検に刑事告発しました。
10日付で長崎地検に告発状を提出したのは、知事の後援会の元関係者で、東京の経営コンサルタント会社代表の男性です。
告発状などによりますと、大石知事は2022年の知事選で選挙活動費として長崎県医師信用組合から2000万円を借り入れ、「自己資金」として「選挙運動費用収支報告書」に計上していました。この2000万円の返済のため、知事が選挙コンサルタントと共謀して後援会に架空の貸し付けを行い、後援会の職員に指示して、後援会の口座から知事の口座に利息も含め、去年3月に460万円、今年3月に195万2000円、合わせて655万円余りを入金させ、だまし取った詐欺または業務上横領の疑いがあるとしています。
大石知事は、「弁護士の意見を踏まえ、精査を進めている」としています。
告発状が提出されたことを受けて知事は…。
大石知事:
「事情を承知しておりませんので、何も申し上げることはできないです」
知事が初当選した2022年の後援会の政治資金収支報告書をめぐっては、江真奈美県議の後援会から286万円を借り入れた記載もあり、先月24日の県議会一般質問で「政治倫理上問題がある」と指摘を受けていました。
この時、知事は、6月中に収支報告書の記載を「借入金」から「寄付」に訂正するとしていましたが、その後、「承認なく多額の出金がなされ、監査人に渡った可能性がある」「十分な精査が必要」などとして訂正を保留。10日の県議会閉会日に経過を説明するとしていましたが…。
大石知事:
「最大限努力し精査を進めてまいりましたが、本日まで最終的な結論に至りませんでした」
「精査に時間が必要」として明確な説明を控えました。
大石知事:
「6月中に訂正の予定としていたことについて時間を要してしまっていることについては本当に申し訳なく思っております。少しでも早く実行できるように努めていきたいという状況でございます」
(Q.説明や精査が遅れている原因は?)
「色々ありますけど、そこも含めて説明の際に申し上げられればと思います」
田中愛国県議:
「お粗末だね、お粗末。残念だけどね。公的な発言をする時にはちゃんとした裏付けを持ってやらなきゃ」
江県議の後援会から286万円を借り入れる前には、江県議が代表を務める自民党支部に対し県内9つの医療機関などから同額の286万円が寄付されていました。
市民団体「民主長崎県政をつくる会」は、この寄付金が大石知事のもとに流れた「迂回献金」の可能性を指摘しています。
江真奈美県議:
「私にはその(迂回献金の)認識は全くありませんし、コンサルタントから指示を受け、確認を取ったうえで実行していることでありますのでその認識はありません」
江県議は、寄付を受けた医療機関などへの返金について今後、医師会などと話をしていくとしています。