5年前(2019年)、一時道路が封鎖される事態となった長崎市青山町の住宅団地内の私道を巡り、住民96人が所有者に通行妨害の禁止などを求めた訴訟の和解が成立しました。
山本光悦記者:
「この辺り一体の住民は通行妨害により不便を強いられていましたが、住民たちの生活道路が戻ってきました」
こちらは付近住民が撮影した2019年の映像です。長崎市青山町の青城団地の私道に、業者が「進入禁止」のバリケードを立てています。この日、地域住民の生活道路が、突然、封鎖されました。
2019年10月、団地内の私道を所有する福岡の不動産管理業者が道路の維持・管理の費用に充てるとして、車を持つ世帯は月額1万円、持たない世帯は月額3000円を通行料として支払うよう住民に通達。住民が応じなかったため私道の一部をバリケードで封鎖しました。
住民(当時):
「この柵を見てさらに怒りが増しています。とうとうやりやがったなという」
住民側は、所有者側に通行妨害の禁止を求める仮処分を長崎地裁に申し立て、翌11月にバリケードは撤去されましたが、通行が認められたのは、仮処分を申し立てた原告の7人のみ。住民側は仮処分を確定させ、通行やガス・電気などの設置工事の妨害禁止、1人20万円の慰謝料などを求め、長崎地裁に2020年1月と8月に提訴し、原告は96人となりました。
住民によりますと、係争中も業者が見回りに来ることがあり、バリケードが撤去された後もタクシーや郵便車、高齢者施設の送迎車、ごみ収集車などは入れなかったということです。
長崎地裁は2021年12月に両者に和解を勧め、和解に向けた協議が進められてきました。そして29日、私道の所有権を業者から地元自治会に移す形で和解が成立しました。
付近住民:
「ずっと我慢しながらやってきたことが和解という形で解決したのは良かった」
青城自治会・田中憲一自治会長(56):
「権利があって住んでますし、元々宅地造成された時の条件として使えるはずだったものが使えないというのは、理不尽ではないかと。住民の生活自体に影響があることなので、ようやく日常に戻れる」