
体重110キロ、食事の量は「普通」。でも、甘いものが大好物な中嶋航大記者(32)が、街のリアルな声を頼りに“うまい”を探し歩きます。「満腹記者がゆく」今回は佐世保市が舞台です。
佐世保駅前の「貧乏が去る」御利益があるという、その名も「貧乏が去る像」におまじない。グルメ探しの運気アップを狙う満腹記者。街頭では、「いつもテレビで見てますよ」「お腹はあんまり出とらんけん良かたい」と温かい声をかけられ、佐世保の人情にほっこりしつつ、聞き込みがスタートします。 アーケードで聞き込みしていると、猫耳がついた帽子が印象的なお二人を見つけました。松浦市から来ている親子で、「佐世保のグルメはよくわからない」と言いながらも、「孫さんの小籠包はめちゃくちゃおいしい」「肉汁がレベル違う!」と口をそろえて絶賛。今回は、帽子は猫派の親子が教えてくれた「孫さんの小籠包」にロックオン! アーケードのテーブルで歓談中の佐世保マダムからも「良かったですね」と拍手を受けながらアーケードの路地を歩いてお店へ向かいます。 佐世保玉屋裏の路地、2階にあるお店は、2009年オープン。「孫さんの小籠包」は、上海出身のオーナー・孫瑞慶さん(68)と、地元佐世保出身の妻・明美さん(66)が夫婦で切り盛りしています。瑞慶さんは上海で中華の料理人として腕を磨きました。 「四ヶ町アーケードでおすすめを聞いたら一番に『孫さんの小籠包』という方がいて」 店名通り、小籠包が看板メニュー。小籠包は、6種類あります。そのほか前菜や丼物、麺類なども充実しています。ランチセットは、小籠包に唐揚げが付いて990円、麻婆豆腐が付いて880円、エビチリが付いて1100円など人気の中華がセットで、値段もリーズナブル。 「人気は麻婆豆腐ですね。値段も安いし、おいしいし」 明美さんからおすすめをいただいて、一番人気の「黒豚小籠包&麻婆豆腐(Bランチ)」(880円)をお願いしました。 「湯気がすごい…形もきれいで、つやつやです。出てきます。黄金色の出汁が」 小籠包をレンゲの上で割ってみると、あふれだす出汁。口に含むと出汁だけで、濃厚な肉のうまみを感じます。 生地は、小麦粉と水だけで練り上げます。外側は約0.5ミリ、内側は1ミリほどの「二層仕立て」。薄さともちもち食感の両方を出すため、生地の厚みを細かく調整しています。 餡は豚肉。あふれ出る肉汁の正体は、コラーゲンで固めた豚骨と鶏ガラを合わせた“秘伝のスープ”。蒸すことでスープが溶け出し、かんだ瞬間にうまみが口の中に一気にあふれ出します。 多い日には1日約500個を仕込むこともあるそうで、手間暇かけて作られる小籠包は、地元の人にも観光客にも大人気です。 麻婆豆腐は、たっぷりの山椒と豆板醤・甜面醤を高火力で仕上げます。豚骨と鶏ガラのスープで旨みも抜群。しっかり辛さがありつつ、後味にうまみが広がります。ランチのおかゆは1日10杯限定。麻婆豆腐の辛さを優しく包み込む、ほっとする味わいです。 孫さんは上海で中華の料理人として腕を磨き、横浜中華街で明美さんと出会い国際結婚。佐世保に中華料理店が少なかったことから、明美さんの地元で上海仕込みの小籠包を提供する店を開きました。 でも上海の小籠包とは全く違うそうです。明美さんは当時のことを、こう振り返ります。 「日本人の舌に合わせると言って研究していました。何回も試食させられました」 夫婦で研究を重ね、今の味にたどり着いたそうです。まさに「孫さんの小籠包」です。 多文化が交わる佐世保で味わう上海仕込みの小籠包の肉汁も、麻婆豆腐の旨辛も、街の空気にすっと馴染む“佐世保の中華”です。夫婦で守る味を味わいながら今週も満腹!満腹! 「孫さんの小籠包」では、「九十九島かき」をまるごと1つ包んだ冬限定の小籠包の提供も始まっています。ご夫婦2人で切り盛りされているので、来店の際は事前予約がおすすめです。 孫さんの小籠包
駅前で神頼み?から始まるグルメ探し
猫耳親子イチオシ!「孫さんの小籠包」
佐世保玉屋裏の名店
「ありがたいね」
メニューは“小籠包”が主役!ランチセットもお得!
“上海仕込み”の味を佐世保で
満腹後記
住所 佐世保市栄町3−6
電話 0956-22-1668
営業 11:00~14:30(O.S)/17:30~20:00(O.S)
休み 火曜・水曜