夏の高校野球長崎大会、第4シードから初の栄冠を狙う九州文化学園。チームを率いるのは、就任5年目を迎えた元プロ野球選手の香田勲男監督です。かつて巨人のエースとして活躍した名投手の素顔と、熱い夏にかける思いに迫ります。
東彼杵町出身の香田監督は、佐世保工業のエースとして3季連続で甲子園に出場し、聖地で3度の完封勝利を挙げるなど輝かしい実績を残しました。高校卒業後はドラフト2位で巨人に入団。17年間のプロ生活で通算67勝を挙げ、日本一も経験しています。
そんな香田監督が地元・長崎で高校野球の監督に就任したのは4年前。「野球を好きな子どもを増やしたい」という思いが、彼を再びグラウンドへと向かわせました。
監督就任から5年。香田監督は高校野球の魅力を「一言で言うなれば、すごく楽しい」と語ります。中学校を卒業したばかりの選手たちが、2年半という短い時間の中で驚異的なスピードで成長していく姿を見守るのが、毎日の楽しみだといいます。
指導にあたって香田監督が意識しているのは、選手との距離感です。「あまり近づきすぎず、離れすぎず。その辺は……おじいちゃん的なところで。遠くで見守るのも大事かな」と、柔らかな表情を見せます。
選手たちからも、その温かな人柄は慕われています。
岩永颯汰主将:「厳しいときは厳しく、いつもは優しい。優しいおじいちゃんみたいな感じ」
荒木翔斗投手:「良いおじいちゃん、祖父みたいな感じ」
練習中には、人気アニメのセリフを真似て「そうだっちゃ!」と冗談を飛ばすなど、現場を明るく盛り上げる一面もあり、チームには「とびっきりの明るさ」が根付いています。
九州文化には忘れられない一戦があります。昨夏の長崎大会、それまで公式戦でわずか1勝しか挙げられていなかったチームが、破竹の勢いで初の決勝進出を果たしました。しかし、創成館との決勝戦では延長タイブレークの末に惜敗。あと一歩のところで甲子園切符を逃しました。
試合後、香田監督は「子どもたちは精一杯やってくれた。感動させてもらった」と涙ながらに選手たちを讃えました。
就任当時から香田監督が選手たちに言い続けている明確な目標があります。
「甲子園に出場するのが夢じゃない。甲子園に出て、そして勝って校歌を歌う」
「出るだけが目標ではなく、勝って校歌を歌うところまでが目標」という信念は、今も揺らぎません。元プロの経験と、孫を見守るような慈愛に満ちた眼差し。香田監督と選手たちは、長崎の頂、そして聖地での勝利を目指します。
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