43人が犠牲となった雲仙・普賢岳の大火砕流から6月3日で35年です。
火山活動でできた溶岩ドーム「平成新山」の状態を調べる防災視察登山に中尾記者が同行しました。
中尾仁記者:
「雲仙・仁田峠に来ています。きょうは天気もいいので島原市方面の街並みや畑がよく見えます。そして平成新山もくっきりとその姿を現しています。私も35年前、普賢岳災害のころ、よく取材に来ていたんですけれども、平成新山に上るのは初めてなので、今がどういう状態なのかしっかりと確かめてきたいと思います」
今回の登山ルートは、仁田峠から雲仙ロープウェイで一度、妙見岳に上り、そこから谷を下って、平成新山のふもとを目指すルートです。ロープウェイを降りてから尾根伝いに約10分歩くと平成新山がすぐ近くに見えます。
九州大学と島原市などが毎年春と秋に開催している平成新山防災視察登山は39回目。警察、消防、気象庁、報道関係者ら37の団体から112人が参加しました。普段立ち入り禁止の警戒区域となっているルートを、特別な許可を受け入っていきます。
茂みを抜けると溶岩ドームのふもとです。岩がゴロゴロ転がっています。岩の間から水蒸気が上がっている場所もあり、まさに生きている火山であることが実感できます。
ここからは道なき道を歩きます。岩にしがみつき、はうようにして進みます。そそり立つ斜面をまっすぐに登ると、危険なうえ体力を消耗するため、斜めに少しずつ上る「トラバース」という方法で山頂を目指しました。
歩き始めて約3時間。平成新山、溶岩ドームの頂上部分にやって来ました。このあたりは水蒸気が立ち込めていて、蒸し風呂のように蒸し暑い状態です。九州大学地震火山観測研究センターの松島健特任教授がさっそく、水蒸気の温度を計測します。
松島健特任教授:
「88.2℃という温度がいま見えてます。いつも通りですね。元々最初に我々がここに来て測り始めたのが1992年の4月に温度を測ったんです。その時には500度600度という温度があったんですけど、それがどんどん下がって2011年ぐらいに100度ぐらいまで下がって、そこからほぼ90度から80度ぐらいを行ったり来たりしている状況です」
35年前の噴火災害の頃は一日に数百回も発生していた火山性の地震も、今は落ち着いているといいます。
長崎地方気象台防災業務係長本井雅人さん:
「橘湾には地下にマグマだまりがあって、その辺りで地震が起きるんですけども、その地震も少ない状態で経過しています。雲仙岳の活動については静穏な状態でありますけども、活火山であることは間違いないので、その点に留意して登山等をお願いします」
山頂の溶岩ドームが斜面を滑り落ちる動きも、このところ安定しているということです。
雲仙砂防管理センター岡本徹さん:
「2007年から8年にかけて、現在に至るまで、距離は1年間に約37ミリ。少し収まっているのかなと思っております」
九州大学の松島特任教授は、今は立ち入り禁止となっている平成新山への登山について、今後は条件付きで緩和してもよいのではないかと話します。
松島健特任教授:
「警戒区域自体を、35年前に設定されたものを今まで通りにやってていいのかというのも1つのポイントなんですよね。火山の災害は問題無いんだけど岩の崩落があるからということで警戒区域をずっと続けている状態で毎年毎年延長延長でとなっているわけですね。ガイドをつけたツアーとか、そういうものでやれば、山を見て溶岩ドームを見て帰って来られるという点では良いのかなと思っています」
大火砕流から35年の平成新山。火山について学び、災害を語り継ぐための、新しい活用法について考えるべき時なのかもしれません。