長崎大学のBSL4施設について、国が最も危険度の高い病原体を扱える施設に指定したことを受け、周辺住民らが国を訴えた裁判の初弁論が長崎地裁で開かれました。
訴えを起こしたのは、「BSL4施設計画の差し止めを求める会」のメンバーで、施設から半径1キロ圏内に住む山田一俊さん(79)や、長崎大学の元教員吉武裕さん(69)ら3人です。
厚労省は今年1月、長崎大学をエボラ出血熱など危険度の高い病原体を扱うことができる「特定一種病原体等所持者」に指定し、BSL4施設を「特定一種病原体等所持施設」に指定しました。訴状によると、原告らは、施設の半径1キロ圏内にマンションやビルが立ち並び、年間70万人以上が訪れる原爆資料館や平和公園があることを指摘。極めて危険な病原体の動物実験が行われることは、数十万人の幸福追求権を犠牲にする計画だと訴えています。
また、施設は感染症法が定める耐震安全性の技術基準に適合していないとして、国の指定取り消しを求めています。
初弁論で山田さんは、ウイルスが漏れ出る可能性や致死的なウイルスが発生する可能性などを挙げ、「住宅密集地でのBSL4病原体の研究は危険であり、違法・違憲である」と述べました。
原告・山田一俊さん(79):
「住民の感情とか住民の健康、その他を考えての決定じゃないと思うんですよね。また強く気持ちを伝えて(指定の)取り消しをしてもらいたいと思います」
大学側は「裁判の当事者ではないためコメントできる立場にないが、今後も地域住民の声に耳を傾け、コミュニケーションを通じて運営計画などを行う」としています。
国側は訴えの却下を求める書類を、12月15日に提出する予定です。