三菱重工長崎造船所の下請け会社の元従業員らがじん肺になったとして、三菱重工に損害賠償を求めた第3陣の裁判で、福岡高裁は三菱重工の責任を認め、元従業員全員に対して約2億3000万円の支払いを命じました。
原告は三菱重工長崎造船所で働いていた下請け会社の元従業員11人と、すでに亡くなった元従業員7人の遺族らです。裁判では、粉じんを防ぐ対策を怠ったため、じん肺になったとして親会社の三菱重工に対して約5億5000万円の損害賠償を求めています。
一審の長崎地裁は2022年、元従業員18人のうち13人に対しては三菱重工側に安全配慮義務違反があったとして、合わせて1億2千万円の支払いを命じた一方、残る元従業員5人については、造船所内での作業との因果関係が認められないなどとして訴えを退けていました。
そして、11日の二審判決。福岡高裁の松田典浩裁判長は三菱重工に対し「紛じん対策を危険性が除去されるまで十分に尽くす安全配慮義務を負っていた」と指摘。
紛じんと病気の因果関係を認めた上で三菱重工に対して、一審判決で敗訴した元従業員5人を含め18人全員への合わせておよそ2億3000万円の賠償命令を下しました。
原告の元従業員・橋口洋一さん(76):
「全員救済ということが一番素晴らしい結果だった。戦いの中で亡くなっていた仲間の皆さんもおりますので、その人たちもきょうの判決は喜んでいただけると思います」
三菱重工は「判決文の内容を精査し、対応を検討したい」としています。