10日朝、南島原市付近で線状降水帯が発生しました。1時間に約80ミリの猛烈な雨、土砂崩れや浸水、落雷が原因とみられる火災などが起きました。
長崎地方気象台は午前5時27分、県の南部で線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続き、命に危険が及ぶ土砂災害などの危険度が急激に高まっているとして顕著な大雨に関する情報を発表しました。
レーダーによる解析では、午前6時半までの1時間に、南島原市付近で約80ミリの猛烈な雨が降りました。雨量計による観測では南島原市口之津で1時間に77.5ミリ、雲仙岳で69.5ミリ、島原で44.5ミリ、佐世保で50.5ミリ、長崎市で23.5ミリなどの雨が降りました。
南島原市は、午前7時に、市内1万8267世帯3万9944人を対象に避難指示(レベル4)を出し、午前10時に土砂災害警戒情報の解除を受けて、高齢者等避難(レベル3)に引き下げ、午後2時に解除しました。
小柳亮雄記者:
「火事が起きたのは、奥に見える倉庫です。柱などが黒く焦げ、むき出しの状態となっています」
南島原市布津町では午前6時9分、付近住民から「雷で2階建ての建物が炎上した」と消防に通報がありました。火は約2時間後に消し止められましたが、農機具などが入った木造瓦ぶき2階建ての倉庫約80平方メートルが全焼しました。
南島原警察署によりますと、同じ敷地内には90代の母親と71歳の息子が暮らす母屋があり、出火当時、2人とも家にいましたが、避難して無事でした。
近隣住民:
「(雷が)ものすごかったですよ」
小柳亮雄記者:
「土砂崩れが起きた現場に来ています。雨は現在、落ち着いていますが、あちらの法面からは絶え間なく水が流れています」
午前6時半ごろには南島原市加津佐町のグリーンロードで、「土砂崩れが起きている」と110番通報がありました。警察官が現場に駆け付けた際、土砂にぶつかった乗用車を発見しましたが、運転手にけがはなかったということです。
また、大雨の影響で田畑の水があふれ土が道路に流れ出ている所もありました。
近隣住民:
「丁度耕していたんですよね、ジャガイモを今度作るから。そこからジャージャー流れて、ここはザーザー、もうすごかったですね」
住民たちは流れ出た土の対応に追われていました。
小柳亮雄記者:
「南島原市南有馬町に来ています。こちら見ていただくと、擁壁と道路が完全に離れている状態になっていまして、すぐ横の川は、コンクリートの擁壁が大きく崩れています、岩が転がっているのも見えます」
近隣住民:
「(土砂が)こっちの擁壁を崩して、こっち側まで跳んでるんですよ。かなりひどかったですもんね」
土砂をせき止めていた擁壁が崩れ、土砂と、割れた擁壁が川に流れ込んでいます。さらに、この近くでは…。
近隣住民:
「橋は、そこです、今修理しています」
男性に案内されついていくと…。
小柳亮雄記者:
「完全にここの道だけでいうと、分断されている感じですね」
川に架かっていた橋が陥没し、渡れなくなっていました。
近隣住民:
「私も70年ぐらい生きているんですけど、こういったことは初めてですね。ここしかないもんですからね、この2軒の方なんですけどね、特に大変なのは」
住民の避難路を確保するため、急ピッチで工事が行われていました。
10日朝の口之津町、開田公園の映像です。調整池の水があふれ、一面水浸しになりました。
工事現場の作業員:
「公園が冠水している状態です、全部。初めて見ました」
近くで勤務する男性:
「当時はこの高さ、この道路の高さくらいまでは上がってきていた」
公園の近くに住む男性は…。
近隣住民:
「裏の川がいっぱいになって、この庭に…跡がありますが。確かに泥とかがここまで水が来て、起きたときはもうどうする術もなく、ただもう水が引くのを待つとそれだけです」
幸い家の中には、水は入って来なかったそうです。
島原振興局は、南島原市で1時間雨量が30ミリを超えたとして、国道251線の権田から赤間までの約4キロを午前6時半から通行止めとしています。一部の法面の土砂が崩れ道路に流れ込んでいて、現在、規制解除の見通しは立っておらず、11日いっぱい続く可能性があるということです。
県によりますと、この大雨により南島原市で床上浸水4棟、床下浸水6棟の被害が出て4世帯4人が避難したということです。けがをした人はいません。
9日正午の降り始めから10日午後4時までの降水量は南島原市口之津で281ミリ、雲仙岳で215ミリ、平戸で143.5ミリ、松浦で121ミリにのぼっています。前線は11日にかけて九州北部地方をゆっくり南下する見込みです。
南島原市口之津では、降り始めからの降水量が9月の平年1カ月分を超えるなど、これまでの大雨で地盤が緩んでいる所があり、気象台は土砂災害に注意を呼び掛けています。