8月9日の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言文の起草委員会の最終会合が開かれ、市は最終案を示しました。
平和宣言文の最終案は6月、委員から出た意見を踏まえ、素案に修正を加えたものです。
鈴木長崎市長:
「前回から大幅に変わっております」
前回示した素案の冒頭では、鈴木市長が「私」という一人称を使い、被爆者である両親に触れ、自身のことを伝えていましたが、外されました。
鈴木長崎市長:
「この1カ月くらいの間にも世界で武力衝突に関する様々なニュースが飛び込んで参りました。とにかく今の武力紛争をやめてほしいと」
最終案の冒頭は、アメリカがイランの核施設を攻撃するなど、一段と緊迫化した世界情勢を踏まえ、紛争に関わる当事者に争いを止めるよう呼びかける内容に変わりました。
2つの重要なキーワードとして、誰もが核兵器の脅威に直面している「当事者」であることを強調。また新たに「地球市民」という文言を盛り込み、対話や連帯による平和的解決を求めています。
一方で、大幅修正となった最終案は「インパクトがない」という意見が相次ぎました。
長崎被災協会長 田中重光委員:
「全体的にパンチ力が足りないと思います。『被爆80年』という言葉がなくなっているとか」
長崎平和推進協会継承部会会員 八木道子委員:
「『長崎を最後の被爆地に』という言葉がこの中には入ってないなと思いました」
ほかにも「核のタブー」など素案には盛り込まれていた文言が外されていて、複数の委員から復活させるべきとの指摘が相次ぎました。
鈴木長崎市長:
「ブラッシュアップすることで被爆80周年にふさわしい世界に強力に長崎の思いを発信できるような平和宣言文にしていきたいと思っております」
市は、委員からの意見を踏まえ、さらに修正を加えた上で、改めて少数の委員に意見を聞くことも念頭に入れながら、7月末から8月頭には平和宣言文の骨子を発表します。