上野敏子のまちなかスクール～県立長崎鶴洋高校～

今回のまちなかスクールは、長崎市末石町の県立長崎鶴洋高校におじゃま。

長崎鶴洋高校は、前身の水産講習所から数えて創立117年。歴史のある高校です。

長崎水産高校の時代は、水産科だけでしたが現在は総合学科が増えています。２年次からは自分の進路にあった系統に進めるそうです。

案内してくれる西山瑛太さんは、相撲部主将。水産科の管理類型の情報通信で学んでいます。

学校の玄関では、２匹のめずらしい魚を飼育しています。

古代魚ポリプテルスの「カク」とシルバーアロワナの「ヨウ」。合わせて　「カク・ヨウ」です。

特色ある授業に案内してもらいました。

西山さんも受けている「モールス通信」の授業です。

「モールス符号（信号）」は無線通信の主流ではなくなりましたが、現在も非常時のバックアップ手段として重要で、国家資格取得には欠かせない知識です。

山道先生が発信する信号（アルファベット）を聞き取ります。

かなりの長文の出題です。生徒たちは集中して書き取ります。

「海洋通信技術」は、国家資格「第三級総合無線通信士」実技科目のひとつです。

長崎鶴洋高校は認定校になっていて、国家資格の筆記科目の一部が免除になるそうです。

水産科の中には、生き物を育てる分野もあります。金魚を卵から育てています。

生徒が撮影した金魚が卵から孵化する瞬間をインスタグラムで紹介しています。
（長崎鶴洋高校公式インスタグラム　kakuyo_mm より）

魚を育てる漁業で大切な、オスとメスを見分ける「雌雄判別法」の授業もあります。

座学だけでなく、実際に触って、見て、体験します。オスとメスの「生殖孔」を比べました。

生徒の射場さん
「雌雄判別法は見ないとわからないので、実際触って見られるというのが面白い」

生徒の大﨑さんは、自宅でもウーパールーパーを飼育しています。

大きさはなんと30㎝。名前は「うーくん」です。

海沿いに実習場があり、マダイやヒラメを育てています。

育てた稚魚を地域の海に放つ放流事業にも一役買っています

そして、長崎鶴洋高校の特色として知られているのが、「遠洋航海」です。

約2か月の航海の間、航路や写真を廊下に掲示してみんなで見守ります。

マーシャル諸島沖では、マグロ漁の実習もします。

約2か月の航海を終えて、６月18日に帰ってきました。

実習に参加した唯一の女子生徒山口さんは、マグロはえ縄漁の実習など充実した時間を過ごし、「将来は船の道に行こう」と思いを新たにしたそうです。

山口さんの目標は、「航海士になって、船長になること」です。

船長の夢、きっと叶えてくださいね。

続いては、総合学科をのぞいてみます。

化学式を模型でつくる授業でした。

この日は、３年生のいろいろな授業に1年生が参加。２年生からの自分の進路を決める参考にするためです。

工業科目や商業科目を選ぶこともできます。

ダイビングの授業があるのも長崎鶴洋高校ならでは。

海でのしごとに潜水士の資格が必要な場合だけでなく、趣味としてダイビングのライセンス取得を目指すこともできます。

続いてはドローン。

長崎鶴洋高校は情報通信の授業の一環で、ドローンの時間を設けています。

上野さんも体験してみました。

上野さんに教えてくれた水産科３年の大田さんは、将来ドローンを使った仕事にも就いてみたいと思っているそうです。

学生寮もあります。

案内してくれている西山さんは佐賀県出身で、学校に隣接する「拓洋寮」で暮らしています。

寮母さんたちにお話を聞きました。親元を離れてきている子どもたちを預かっているので、お母さんたちが心配しないようにごはんには気をつかっているそうです。

愛情も栄養も量をたっぷりのごはんです。

寮母さんにとって寮生は、「まるで孫みたい」な存在だそうです。

西山さん
「頼れる人たちがいると心の支えになります」

西山さん
「いつもありがとうございます」

相撲部主将 西山さんの部屋に潜入。

元々２人部屋のところを一人で使っているので、広々しています。

服が趣味ということで、個性的なTシャツやキャップも。

先輩から譲り受けたバーベルで、時間があればトレーニングをしているそうです。

トレーニングと寮のごはんのおかげで筋肉量が増え、入学前80キロだった体重は120キロまでになりました。

取材の記念にスタッフと一緒に撮影。

お昼休みです。

寮生は弁当を受け取りにきます。

その中に相撲部のエゴールさんもいました。

エゴールさんは17歳、ウクライナ出身です。

エゴールさんの机も弁当もビッグサイズです。

日本のお弁当に慣れないエゴールさんに合わせて、メニューも特別です。

おととしウクライナから避難してきました。家族はウクライナにいます。

お兄さんは、戦争に行っているそうです。

日本語を勉強しながら元通りの生活に戻れることを待ち望んでいます。

７歳のころウクライナで相撲を始めたエゴールさんは、日本に行きたい気持ちを持っていました。

避難という形でしたが、鶴洋高校に来たことをとても喜んでいます。

エゴールさんも所属している相撲部の練習に行ってみました。

部員は、選手７人マネージャー２人です。

高校総体では、42年ぶりの団体優勝に輝くなど快挙を果たしています。

80㎏級では、高橋一旦選手が優勝。

主将の西山選手は100㎏以上級で優勝。

エゴール選手は無差別級3位。

それぞれ次の大会に向け練習に力が入ります。

長崎鶴洋高校のみなさんありがとうございました。